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今回は、「新しさの切り口」についてお話ししたいと思います。
予期せぬブームが起きた背後では……
中小企業の経営者であるあなたは、自社の製品やサービスの何が顧客から高く支持されているのかを分かっているでしょうか?
前回の新しさをウリにした差別化を成功させたとしても……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その8)では、新しさをウリにした「差別化」によって、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)から支持を得ることに成功したとしても、それだけではアーリーマジョリティ(前期追随者)たちからも支持が得られるという保証はないことを説明しました。
そのため、アーリーマジョリティ(前期追随者)たちからも支持されるためには、これまでの「差別化」の内容を見直し、「差別化」の内容を質的に進化させなければならないのですが、それにはイノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)に支持されているものの本質が何であるかを見極める必要があります。
普通に考えれば、「何が新しいのか?」の「何が」の部分が支持されているのだろうと思えるのですが、「何が」の部分が曖昧で分かりにくいと、新しいものに敏感なイノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)は、そのイメージや雰囲気に共感して、ただ「新しい」ということだけに強く反応してしまう可能性があるのです。
例えば、マスコミに取り上げられたこと等がキッカケで、その新しさが人々の注目を集め、予期せぬブームが起きたような場合、その背後では、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)が流行に乗り遅れまいと夢中になっているだけ……という現象が生じていることは十分にあり得ます。
このような場合、アーリーマジョリティ(前期追随者)たちの興味も引こうと、自分たちが支持されていると考える「何が新しいのか?」の「何が」の部分を強化したとしても、的を大きく外しているので、アーリーマジョリティ(前期追随者)たちは反応してくれません。
それどころか、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)についても、ブームが起きたことで他企業がぞくぞくと参入し、市場の需要が飽和してしまうと、彼らは冷静さを取り戻し、途端に興味を失ってしまうのです。
的を大きく外さないためには……
そこで、このような失敗を回避するには、中小企業が差別化をしたいと思うなら……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その6)でも述べたように、「差別化」によって創り出そうとしている「他との違いの程度(以下、異質性と呼称します)」の持つ訴求力が弱くならない範囲内に「差別化」の対象を絞り込む必要があります。
そうすることで、「何が新しいのか?」の「何が」の部分を明確にして、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)が共感できるポイントを分かりやすく提示できるようになるだけでなく、異質性の持つ訴求力の強さが参入障壁として機能するので、予期せぬブームが起きたような場合でも、この市場に他企業がぞくぞくと参入するのを阻止し、「差別化」の内容を質的に進化させるための時間を稼ぐことができるはずです。
次回は、「差別化の方向性」について解説してみたいと思います。
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