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今回は、「第三者への承継(その2)」についてお話ししたいと思います。
後継者となる第三者が会社という組織の代表者であることが多いから……
前回の第三者への承継を選択する際には……(中小企業経営者のための事業承継!その15)では、「親族内承継」や「親族外の役員・従業員への承継」ではなく「第三者への承継」を選択する場合の注意点などを述べましたが、今回は第三者への承継をする方法について説明したいと思います。(尚、以下の説明は承継の対象が会社という組織であることを前提とします。)
親族内承継や親族外の役員・従業員への承継の場合と違い、第三者への承継をする方法は、(1)株式の譲渡(2)事業譲渡(3)株式交換(4)吸収合併(5)会社分割など複数の方法が存在しますが、これは後継者となる第三者が会社という組織の代表者であることがほとんどだからです。
そのため、第三者への承継をする場合であっても、後継者となる第三者が個人事業者*のような個人である場合には、株式交換や吸収合併のような方法を選択することはできないので、株式の譲渡や事業譲渡などの方法によるしかありません。
*個人事業主という用語の方が一般的に使用されていますが、消費税法第2条第1項第3号で事業を行う個人を個人事業者と定義していますので、私のブログ記事では個人事業者という用語で統一しています。
一方で、親族内承継や親族外の役員・従業員への承継をする場合であっても、後継者が会社を設立して承継する(例えば、親族外の役員・従業員への承継だからこそ……(中小企業経営者のための事業承継!その13)で紹介したMBOやEBOによって親族外の役員・従業員への承継をする場合)のであれば、第三者への承継をする場合と同じく吸収合併などの方法が利用できることになります。
取引法上の行為か?それとも、組織法上の行為か?
このように、第三者への承継をする方法には複数の方法が考えられるのですが、これらの方法は大きく分けて、取引法上の行為と組織法上の行為に分けることができます。
具体的には、(1)株式の譲渡(2)事業譲渡 が取引法上の行為であり、(3)株式交換(4)吸収合併(5)会社分割 が組織法上の行為です。
両者の違いは、先ほど説明したように、後継者が個人であっても組織であっても可能であるのか、それとも、後継者が組織でなければ不可能なのかという点だけでなく、その効力が及ぶ範囲などでも違いがあります。
例えば、(2)事業譲渡の場合であれば、権利義務の承継は特定承継されるので、財産等を個別に移転させる必要があるのに対し、(4)吸収合併の場合であれば、権利義務の承継は包括承継されるので、財産等が一括して移転することになります。
又、このような権利義務の承継の性質の違いから、(4)吸収合併の場合であれば、債権者保護手続きが必要になるのに対し、(2)事業譲渡の場合であれば、債権者保護手続きが不要である(但し、事業譲渡が債権者に不利益をもたらす場合、債権者から責任を追及される可能性はあります)という違いも生じることになります。
このように、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるので、それらを十分に考慮した上で、どの方法が望ましいのかを検討する必要があるでしょう。
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