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今回は、「倒産件数の増加が示していること」について考えてみたいと思います。
2021年を境にして……
これまで、経営支援の名のもとに事業の継続を半ば強制するよりも……やコロナ禍でゾンビ企業が……などで、倒産件数は減少傾向にあり、休廃業や解散をした企業の件数は増加傾向にあるという説明をしてきました。
しかし、東京商工リサーチから発表されている『2023年の「休廃業・解散企業」動向調査』や『全国企業倒産状況』を見ると、休廃業や解散をした企業の件数については増減が激しいものの、倒産件数については2021年を境に2022年以降は明らかに増加しているようです。
倒産件数の増加傾向から見えてくることは……
経営支援の名のもとに事業の継続を半ば強制するよりも……やコロナ禍でゾンビ企業が……では、倒産件数は減少傾向にあるのに、休廃業や解散をした企業の件数が増加傾向にある理由として、自社の将来性を危ぶんでいる経営者が高齢になってきたことなどを理由に、自力で問題解決ができるうちに廃業させた方が周りにも迷惑をかけないだろうと考えて、次々と廃業しているのではないかという私の仮説を紹介しました。
これについては、コロナ禍の影響などもあって、年ごとにバラツキはあるものの、概ね高止まりしていることから、私の仮説通りに経営者の高齢化に伴う廃業がジワジワと進行しているのだと推察されます。
一方、倒産件数が増加していることについては、世間一般で主張されているように、人手不足や円安などの影響による原材料価格の高騰などが主な原因だと考えられますが、人手不足というのは、人を集められる水準の給与を払えないから生じているのであり、どちらの原因もコスト上昇により事業を継続できなくなったと解釈することができます。
つまり、これまでのデフレ経済の状況下では有効だったコストカットによる経営改善手法だけでは問題解決することが難しくなり、今後は収益面の増加を意図した事業構造そのものを見直すことによる抜本的な経営改善手法によらなければ、問題解決には繋がらない時代へ突入したと考えられるのです。
これは、ゾンビ企業と呼ばれる企業の多くが、明らかに経営環境が変化していることが分かっているのに旧態依然の状態を変えようとせず、小手先の対応(=安易なコストカットによる経営改善手法)で延命を図ろうとしてきたことへの限界を示すものだとも考えられるので、そうだとすれば、このような企業に対する支援体制についても根本的な見直しをするべき時期に来ているのかもしれません。
そして、これについては、黒字かどうかで判断するのではなく……(中小企業経営者のための事業承継!その1)で述べた事業承継が可能かどうかの判断基準と同じように、「支援するに値する“会社の強み”があり、かつ、その“会社の強み”を今後も維持できるという条件を満たしているかどうか」といったような基準で選別を行うべきだと考えます。
いずれにせよ、国の財政状況も厳しくなってきているのですから、これまでのように大盤振る舞いを続けても、その効果が見込めないような状況が続くようであれば、前例主義をいつまでも引きずるのではなく、一度立ち止まって、これまでの政策のあり方そのものを考え直すべきだと私は思うのですが……
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