親族外の役員・従業員への承継が選択されるには……(中小企業経営者のための事業承継!その14)

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今回は、「親族外の役員・従業員への承継(その3)」についてお話ししたいと思います。

親族外の役員・従業員への事業承継が増えているのは……

前々回の親族外の役員・従業員への承継が増えている?(中小企業経営者のための事業承継!その12)では、帝国データバンクが2023年11月21日に公表している『全国企業「後継者不在率」動向調査(2023)』で、血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」が、「同族承継*」を抜いてトップになっていることを紹介しました。

*同調査では「同族承継」という用語を使っていますが、その内容を勘案するに「親族内承継」とほぼ同義であると考えます。

親族外の役員・従業員への承継がトップになっています!

そして、その際に、事業承継問題を長く放置し過ぎたために、親族内承継による後継者の育成に十分な時間をかけることが難しくなり、その代替案として親族外の役員・従業員への承継が選択されているのではないかという私の推測を述べましたが、それが可能になった背景に経営者保証の取り扱いの見直しが影響しているのではないかと考えています。

つまり、親族外の役員・従業員が事業承継をする際に、金融機関から経営者保証をむやみに求められることが減少してきたことで、後継者が親族でなくても事業承継することが実質的に可能になったのではないかということです。

経営者保証をむやみに求められることが減少してきたことで……

なぜ、あなたは親族内承継をためらうのか?(中小企業経営者のための事業承継!その11)でも述べましたが、金融機関から後継者に対しても経営者保証を求められる場合に後継者になるということは、いきなり多額の債務を負わされる危険を自ら抱え込むことを意味します。

いきなり多額の債務を負わされる危険を自ら抱え込むことに……

そのため、経営者保証の取り扱いの見直しが行われる前は、たとえ親族外の役員・従業員が事業承継することが望ましい条件が揃っていたとしても、金融機関から経営者保証を求められることがネックとなって、あくまでも他人である親族外の役員・従業員が後継者になることを受け入れることは、何か特殊な事情でもなければ少なかったはずです。

しかし、金融庁が金融機関に対する経営者保証の監督指針を改正し、金融機関の経営者保証に頼った融資の慣行が見直されたことで、金融機関が後継者に対してむやみに経営者保証を求めることが少なくなり、それによって、他人である親族外の役員・従業員が後継者になることへの心理的なハードルは下がっていると予想されます。

そうだとすると、これまでなら金融機関から経営者保証を求められることが原因で後継者になることを諦めていたような親族外の役員・従業員が、金融機関から経営者保証を求められなくなったことで事業承継に対して前向きになっているであろうことは容易に想像され、今後は親族外の役員・従業員への事業承継が更に増えていくでしょう。

親族外の役員・従業員への事業承継が更に増えていくかも……

但し、将来性が見込めないような会社や何かしら問題を抱えている会社などについては、いくら経営者保証を求められなくなったことで、いきなり多額の債務を負わされる危険はなくても、会社経営に失敗して自分のキャリアに傷を残す危険がありますから、あくまでも他人である親族外の役員・従業員がわざわざ後継者になることを受け入れる可能性は低いと考えられます。

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