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今回は、「親族外の役員・従業員への承継(その1)」についてお話ししたいと思います。
親族外の役員・従業員への承継がトップになった理由とは?
中小企業の経営者であるあなたは、「親族外の役員・従業員への承継」について、どのように考えているでしょうか?
帝国データバンクが2023年11月21日に公表している『全国企業「後継者不在率」動向調査(2023)』を見ると、血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」が35.5%となり、2022年まで事業承継方法の中でトップだった「同族承継*」の33.1%を抜いて、初めてトップになったことが報告されています。
*同調査では「同族承継」という用語を使っていますが、その内容を勘案するに「親族内承継」とほぼ同義であると考えます。
親族外の役員・従業員への承継がトップになった理由としては、事業承継問題を長く放置し過ぎたために、親族内承継を選択したいのなら……(中小企業経営者のための事業承継!その7)で述べたような親族内承継による後継者の育成に十分な時間をかけることが難しくなり、その代替案として選択されているのではないかと個人的には考えています。
いずれにせよ、どの事業承継方法を選択すれば……(中小企業経営者のための事業承継!その6)でも述べたように、関係者の理解が得やすいと考えられるものから順に事業承継方法を検討するべきなので、親族内承継を選択することが難しいのであれば、その次に理解が得やすい親族外の役員・従業員への承継が選択されるのは当然の流れでしょう。
親族外の役員・従業員への承継を行う場合の注意点!
親族外の役員・従業員への承継については、経営権と共に事業を承継する方法と経営権は渡さずに事業を承継する方法の二つがあるので注意が必要です。尚、ここで経営権と呼んでいるのは、会社支配権を有している現経営者が保有している全ての議決権のある株式のことを指しています。
まず、経営権と共に事業を承継する方法についてですが、こちらについては、どの事業承継方法を選択すれば……(中小企業経営者のための事業承継!その6)でも述べたように、後継者が経営権を引き継ぐための買取資金を用意しなければならないという問題が生じます。
もし、後継者が経営権を引き継ぐための買取資金を用意できないのであれば、「所有と経営の分離」の状態が生じますが、現経営者の影響力が残り続ける原因となり、それが原因で後継者が経営に専念できなくなる可能性も高くなります。又、現経営者の側も引退後に資金が得られないので、経済的に不安定な状態に置かれる危険があります。
次に、経営権は渡さずに事業を承継する方法についてですが、こちらは予めワンポイントリリーフとして事業承継することが明らかな場合に選択される方法です。
例えば、現経営者の子供たちは事業承継の要請を承諾する意思はないが、まだ幼い孫は事業承継の要請を承諾する意思があり、将来的には孫への親族内承継を考えているような場合、とりあえず現経営者の意思通り忠実に行動してくれる側近に事業承継を行い、その後、成長した孫へ事業承継をするような場合が該当します。
次回は、「親族外の役員・従業員への承継(その2)」について解説してみたいと思います。
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