効率化を推し進めても生産性は……

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今回は、「生産性を上げるための施策の是非」について考えてみたいと思います。

日本経済を復活させるために……

中小企業の経営者であるあなたは、「生産性」という言葉に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか?

どのようなイメージを持っていますか?

最近、テレビなどで日本経済を復活させるために「生産性を上げろ!」という提言と共に、そのためには効率化を推し進めて……といった意見を耳にすることが多くなりました。

確かに、生産性については、設備投資をすれば、人件費を減らせるのか?(その設備投資は正解なのか?その6)働き方改革で、生産性を向上させる?でも解説したのですが、算出(アウトプット)を投入(インプット)で割ることで求められますから、算出(アウトプット)を減らすことなく、投入(インプット)を減らすことができるなら、算式の上では生産性を上げることができます。

実際、中小企業の中には、投入(インプット)のムダが多すぎて、生産性を大幅に下げているところもありますから、そういう企業については、自動化などを推し進めたり、ムダな作業を見直したりすることで、算出(アウトプット)を減らすことなく、投入(インプット)を減らし、生産性を上げることができるはずです。

生産性の算式

しかし、日本経済全体で見た場合に生産性が低いという問題については、ただ効率化を推し進めるだけでは問題を解決することができません。

付加価値が他の先進諸外国と比べて低いのは……

実は、日本経済全体で見た場合に生産性が低いという問題を解決するためには、投入(インプット)よりも、算出(アウトプット)の方に着目する必要があります。

というのも、公表されている資料などを見る限り、日本経済全体で見た場合に生産性が低いという問題の大部分は、効率性の問題というよりも、この場合の算出(アウトプット)を意味する付加価値が他の先進諸外国と比べて低いことから生じていると考えられるからです。

それでは、なぜ日本経済全体で見た場合に付加価値が低いのかといえば、バブル経済が崩壊した1990年代後半以降、高い成長が見込めなくなった市場で事業を行っている日本企業の多くが、本来なら高付加価値が見込める市場へ進出すべきなのに、高いリスクを取ることを恐れて既存の市場に残り、代わりに価格競争による生き残りを選択したことが原因だろうと思われます。

それを裏付けるように、バブル経済が崩壊した1990年代後半以降の日本ではデフレの状態が長く続いており、付加価値が低いという問題とデフレが長く続くという問題が表裏の関係であることを示しています。

デフレの状態が長く続いたのも……

そうだとすると、日本経済全体で見た場合に生産性を高くするには、コモディティ化が生じているような製品やサービスに見切りをつけ、高いリスクを恐れずに高付加価値が見込めるような製品やサービスを開発する必要がありますが、そうすれば失敗も必然的に増えることになります。

もちろん、このまま高いリスクを取ることを恐れて既存の市場に残り、いつまでも価格競争による生き残りを選択し続けたとしても、将来的にはジリ貧に追い込まれるだけです。

けれども、ローリスク・ローリターンの企業活動からハイリスク・ハイリターンの企業活動へと国全体として舵を切るのは、何よりも安定を望む日本人の国民性を踏まえると、かなり厳しい道にはなりそうですが……

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