PDCAサイクルをPDSサイクルと同じ管理サイクルだと思っていると……(中小企業経営者のためのPDCAサイクル入門!その10)

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今回は、評価(Check)と改善(Action)の関係性についてお話ししたいと思います。

PDCAサイクルとPDSサイクルは同じものなのか?

中小企業の経営者であるあなたは、PDCAサイクルとPDSサイクルは同じものだと思っていないでしょうか?

同じものだと思っていませんか?

確かに、PDCAサイクルとPDSサイクルは同じものだと主張している人たちがいることは私も知っていますが、もしかして、PDCAサイクルとPDSサイクルの使い分けができていないのではないですか?(中小企業経営者のためのPDCAサイクル入門!その3)でも述べたように、明らかにPDCAサイクルとPDSサイクルは違うものです。

なぜなら、PDCAサイクルとPDSサイクルは同じものだと主張している人は、PDSサイクルの統制(See)を評価(Check)と改善(Action)に分けたものがPDCAサイクルだと説明しているようですが、そもそも統制(See)というのは計画(Plan)通りに実行(Do)がなされているのかを検証することですから、わざわざ統制(See)を評価(Check)と改善(Action)に分ける必要などなく、どう考えても説明に無理があるからです。

しかも、改善(Action)だけが、他の計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)の3つと違い、Actという動詞による表記ではなく、Actionという名詞による表記であることを考えると、PDCAサイクルは英語圏の外で育った人物によって提唱された可能性が高いと推測でき、この点からもPDSサイクルとは異なる経緯で登場したものだと考えられます。

デミングサイクルとも違うものです!(影響を受けた可能性はありますが……)

PDCAサイクルが役に立たないというのは本当か?

一方、PDCAサイクルは役に立たないという批判も目にすることがありますが、この批判についても、よくよく内容を検討してみれば、PDCAサイクルに対するものではなく、PDSサイクルに対する批判であることがほとんどです。

このような誤解が生じる原因は、批判を行っている人たちがPDCAサイクルをPDSサイクルと同じ「管理サイクル」だと思い込み、PDCAサイクルにおける改善(Action)の役割を誤って解釈しているためだと思われます。

つまり、彼らはPDCAサイクルの計画(Plan)は確定的なものだと考えているので、PDCAサイクルにおける改善(Action)の役割は、評価(Check)の役割を補完するために、次回の実行(Do)をする際の修正点などを見つけることだと勘違いしているのです。

しかし、本当のPDCAサイクルは、そもそも、経営者がPDCAサイクルの姿を正しくイメージできていないとPDCAサイクルは回りません!(中小企業経営者のためのPDCAサイクル入門!その1)でも示したように、改善(Action)が当初の計画(Plan)に戻ってくるというループ状(輪の形)の姿ではなく、新たな計画(Plan)に繋がっていくというスパイラル状(らせんの形)の姿をしています。

PDCAサイクルの姿

そのため、PDCAサイクルの計画(Plan)は更新することが予定された暫定的なものであり、PDCAサイクルにおける改善(Action)の役割は、より優れた計画(Plan)が立案できるように、実行(Do)や評価(Check)によって収集された情報を使い、事態を改善するための新たな可能性を検討することであり、又、PDCAサイクルは問題解決のための優れたアイディアを生み出すための「発想サイクル」とでも呼ぶべきものなのです。

このように、PDCAサイクルの真の姿と改善(Action)の本当の役割を理解すれば、PDCAサイクルが役に立たないという批判の多くは誤解によるものだということが理解できると思います。

次回は、改善(Action)と計画(Plan)の関係性について解説します。

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