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今回は、「差別化の対象になる人たち」についてお話ししたいと思います。
イノベーター理論によれば……
中小企業の経営者であるあなたは、これまでにない新しさをウリにした「差別化」を行いたいと思ったことはあるでしょうか?
社会学者であるエレベット・M・ロジャースという人が提唱した「イノベーター理論」によると、新しい製品やサービスが登場した時の購入態度から、人々を次の5つのタイプに分類することができると主張しています。
「イノベーター(革新者)」
新しいものが出ると真っ先に飛びつく人々であり、全体の2.5%を占めます。
「アーリーアダプター(初期採用者)」
イノベーター(革新者)に次いで流行に敏感な人々であり、全体の13.5%を占めます。
「アーリーマジョリティ(前期追随者)」
流行には慎重な態度をとりますが、それでも平均より早く新しいものを取り入れようとする人々であり、全体の34.0%を占めます。
「レイトマジョリティ(後期追随者)」
平均より遅く新しいものを取り入れようとする人々であり、全体の34.0%を占めます。
「ラガード(遅滞者)」
最も保守的な態度をとる人々であり、全体の16.0%を占めます。
イノベーター理論が正しいのだとすると、これまでにない新しさをウリにした「差別化」を成功させるには、まずはイノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)を惹きつける必要がありそうです。
急速に市場が拡大していくような事態が生じると……
悩ましいのは、イノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)だけを相手にしていてよいのか……ということではないでしょうか。
というのも、イノベーター(革新者)とアーリーアダプター(初期採用者)は全体の16.0%(=2.5%+13.5%)しかおらず、彼らだけを相手にしていては市場の規模がいつまでも大きくならないからです。
しかし、アーリーマジョリティ(前期追随者)たちをも惹きつけようと「差別化」の対象を安易に広げてしまうと、中小企業が差別化戦略を行う際には……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その5)などでも述べたように、「差別化」によって創り出そうとしている「他との違いの程度(以下、異質性と呼称します)」の持つ訴求力を弱くしてしまいます。
そのため、こちらの思惑を超えて急速に普及が進んでしまうような事態が生じると、自分たちの異質性の持つ訴求力が弱すぎて顧客を囲い込むことができず、他の企業が市場に参入するのを阻止できなければ、彼らと生き残りをかけて熾烈な競争をしなければならなくなります。
特に、レイトマジョリティ(後期追随者)やラガード(遅滞者)を惹きつけるには単に異質性があるというだけでは足りず、価格面などからも訴求していかなければならないため、資金面で劣っている中小企業には極めて不利な戦いになることが容易に想像できます。
そこで、中小企業が、これまでにない新しさをウリにした「差別化」を成功させたいと本気で思うのなら、たとえイノベーター(革新者)やアーリーアダプター(初期採用者)だけしか反応してくれないのだとしても、まずは、異質性の持つ訴求力が弱くならない範囲内に「差別化」の対象を絞り込むべきでしょう。
次回は、「差別化の先にあるもの」について解説してみたいと思います。
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