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今回は、「成果主義による人事評価」の恐ろしさについて考えてみたいと思います。
ビッグモーターのような状態にまではならなくても……
中小企業の経営者であるあなたは、「成果主義」による人事評価を導入してみたいと思ったことはあるでしょうか?
ちなみに、成果主義とは、企業活動への貢献度合いを評価して、報酬や地位などの待遇を決定するという考え方のことですが、人件費を抑制したいなどの理由で安易に導入してしまうと、企業内の雰囲気を悪化させてしまうことで、組織として有効に機能しなくなる危険があります。
なぜなら、成果主義が持つ被評価者の意識に与える影響力があまりにも強すぎるため、自動車保険の不正請求問題で有名になったビッグモーターのような状態にまではならなくても、自分の評価に影響する場合と影響しない場合で、被評価者である従業員の行動が大きく変わってしまう可能性が高いからです。
例えば、自分の評価に繋がるようであれば、かなり卑劣な手法を使ってでも結果を出そうとするのに、自分の評価に繋がらないようだと、真面目にやろうとしなかったりする者が出てくる恐れがあります。
そのため、成果主義による人事評価を導入したいのであれば、そのような者が出てこないように、従業員のモラルを高い状態で維持できるような仕組みが必要であり、そのような仕組みが備わっていないのであれば、成果主義による人事評価を導入するのは見送るべきです。
被評価者である従業員の不平不満がでないように評価を行うことは……
それに、企業活動への貢献度合いを評価するにしても、公正な評価基準を設定することは至難の業であり、被評価者である従業員の不平不満がでないように評価を行うことは思うほど簡単ではありません。
というのも、従業員の企業活動への貢献度合いを公正に評価するためには、彼らの活動がどのように利益の獲得に貢献しているのかを直接的に把握できなければなりませんが、経理や人事などのスタッフ部門に属している従業員については、彼らの活動がどのように利益の獲得に貢献しているのかを直接的に把握することは難しいからです。
そこで、現実には何かしらの代替的な指標を使って評価を行うことになりますが、何を代替的な指標とするのかによって、それぞれの評価に有利不利が生じることになります。
そして、営業や製造などのライン部門に属している従業員を評価する場合についても、彼らの活動がどのように利益の獲得に貢献しているのかを直接的に把握することはできますが、全員が全く同じ業務を全く同じ条件で行っているわけではありませんから、担当する業務によって有利不利が生じないような調整が必要です。
(販売員を例にすれば、担当する地区や得意先ごとに、販売しやすい地区や得意先、あるいは、販売しにくい地区や得意先というのがあるはずなので、このような違いによる有利不利を調整する必要があるのではないでしょうか?)
このように、成果主義による人事評価を導入するとしても、公正な評価基準を設定することができないのであれば、従業員に不公平な印象を抱かせることになり、かえって彼らのモチベーションを下げることになります。
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