親族内承継を選択したいのなら……(中小企業経営者のための事業承継!その7)

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今回は、「親族内承継(その1)」についてお話ししたいと思います。

なぜ、親族内承継が選択される割合が高いのか?

中小企業の経営者であるあなたは、自分も「親族内承継」したいと考えているでしょうか?

親族内承継を選択するべきか……

帝国データバンクが2022年11月16日に公表している『全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)』を見ると、2022年の事業承継における「同族承継*」の割合は34.0%となっており、その割合は急激に減少(2021年より4.7ポイント減少)しているものの、全ての事業承継方法の中では一番割合が高いです。

*同調査では「同族承継」という用語を使っていますが、その内容を勘案するに「親族内承継」とほぼ同義であると考えます。

他の事業承継方法よりも親族内承継が選択される割合が高いのは、どの事業承継方法を選択すれば……(中小企業経営者のための事業承継!その6)でも述べたように、日本の中小企業の多くが「同族経営」を行っていることから、経営者自身が納得しやすいのはもちろんのこと、多くの関係者からも理解を得やすいからでしょう。

しかし、それは後継者の正統性が担保されるというだけでなく、これまでの経営方針が今後も引き継がれ、大きな変化は生じないだろうと思わせるからだと推測されます。

そのため、たとえ親族内承継を選択した場合であっても、後継者が先代への対抗心などによって、これまでの経営方針を大きく変更してしまうようだと、関係者の献身的な協力が得られなくなることで業績を悪化させるかもしれません。

関係者の献身的な協力が得られなくなるかも……

そこで、このような事態を回避する対策として、後継者の育成に十分な時間をかけるという方法が考えられます。

後継者の育成に十分な時間をかけることで……

後継者の育成に十分な時間をかけるという対策は、後継者に経営者として必要な資質を身に付けさせる機会を増やすことにも繋がるので、一石二鳥の方法だといえます。

特に、事業を引き継いでもよいと思う親族が他におらず、経営者として必要な資質を兼ね備えているかどうかの検討が後回しになっているような場合には、経験や知識が乏しいなどの理由により、後継者が会社の存続を危うくするかもしれませんから、後継者の育成に十分な時間をかける必要があります。

それに、後継者に経営者として必要な資質が備わっていたとしても、現在の経営者と会社の将来のあり方に対する考え方が大きく異なるような場合には、事業を承継するにあたって齟齬が生じないように、お互いに相手の考え方を深く理解する必要があるので、後継者の育成には十分な時間をかけるべきです。

(但し、これは現在の経営者の考え方に賛同するよう後継者を説得せよという意味では必ずしもありません。ゆでガエルの現状を変革するため、後継者の考え方を大幅に取り入れなければならない場合もあり得ます。)

後継者の育成に十分な時間をかけることの意義

そして、そのような違いを乗り越えた結果として、これまでの経営方針を大きく変更するような場合であっても、後継者の育成に十分な時間をかけていれば、後継者と関係者が対話する機会も増えているはずなので、両者の間に信頼関係が構築され、関係者の反発を抑えられる可能性は高くなるはずです。

このように、親族内承継を選択するのであれば、後継者の育成に十分な時間をかけるべきであり、又、そうすることで親族内承継のメリットを引き出すことが可能になります。

次回は、「親族内承継(その2)」について解説してみたいと思います。

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