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今回は、「差別化のリスク」についてお話ししたいと思います。
的を大きく外してしまうのは……
中小企業の経営者であるあなたは、なぜ、対象を絞った「差別化」に踏み切ることができないのでしょうか?
前回の差別化の規模を大きくしてしまうと……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その2)では、多額の資金が必要となるにも関わらず、経営者は「差別化」が行われる対象を無意識のうちに広く設定してしまうことを指摘しましたが、その理由は、対象を絞り過ぎることで、大きく的を外すことを危惧しているからではないかと想像しています。
つまり、自分たちが仕掛けた「差別化」に反応してくれる顧客があまりにも少ないようだと、採算が取れずに事業として成立しなくなることを恐れているのだろう……と推測できるのです。
確かに、反応してくれる顧客が少なすぎると「差別化」は失敗するわけですが、顧客に反応してもらえない原因としては、対象を絞ったことで的を大きく外してしまうことよりも、対象となる顧客の要望を把握しきれないことで的を大きく外してしまうことの方が可能性としては高いように思えます。
なぜなら、「差別化」の内容が、対象である顧客の要望を本当に満たすものであれば、対象から少しぐらい外れている顧客であっても、対象である顧客と同じように反応してくれることは十分に考えられるからです。
そうだとすると、差別化が難しい本当の理由は……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その1)でも説明したように、的を大きく外さない秘訣は、むやみに対象を広げることではなく、顧客との向き合い方にあるということになります。
予期せぬブームが起きてしまうと……
むしろ、「差別化」を行う際に恐れるべきなのは、対象を絞り切れていないのに、マスコミに取り上げられたこと等がキッカケで、自分たちが想定した数よりもずっと多くの顧客が反応してしまうような場合でしょう。
こんな風に予期せぬブームが起きてしまうと、ある日を境にして、売上が急激に増加することになるので、もしかしたら、経営者であるあなたは嬉しい出来事が起きたと思うかもしれません。
しかし、それは同時に、ここに成長のチャンスがあることを他の企業にも知らせてしまうので、簡単にマネされてしまうようだと、この市場に他の企業が続々と参入してしまい、すぐにコモディティ化が生じて価格競争に突入してしまったり、早い段階で顧客の側が飽きてしまったりして、見る見るうちにブームは去ってしまうことになります。
そこで、このような悲惨な状態を回避するには、「差別化」が行われる対象を絞り込むことで大企業が参入しにくいニッチな市場を開拓すると共に、他の企業に先駆けて「差別化」の要点を把握するよう努めることで、競争力を維持し続けられるような工夫をするべきです。
もちろん、これらの対策を講じたとしても、一つの企業が市場を完全にコントロールすることはできませんが、それでも、「差別化」が行われる対象を絞り込むことは、中小企業らしい顧客との向き合い方であり、又、中小企業としてのメリットを活かすことにも繋がります。
次回は、「差別化戦略VS模倣戦略」について解説してみたいと思います。
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