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今回は、「差別化の規模」についてお話ししたいと思います。
差別化に多額の資金が必要だと思ってしまうのは……
中小企業の経営者であるあなたは、資金の乏しい中小企業が「差別化」を成功させるのは無理だと思っていないでしょうか?
前回の差別化が難しい本当の理由は……(差別化戦略なんて中小企業ができるのか?その1)では、「差別化」が本当に難しいのは多額の資金が必要なことではないと説明しましたが、それでも「差別化」には多額の資金が必要になると思っている経営者は少なくないようです。(あくまでも私自身の経験による感想ではありますが……)
このように、経営者が「差別化」に多額の資金が必要だと思ってしまう理由としては、「差別化」が行われる対象を無意識のうちに広く設定しようとするからではないかと考えています。
つまり、「差別化」が行われる対象を必要以上に広く設定してしまうことで、「差別化」によって創り出そうとしている「他との違いの程度(以下、異質性と呼称します)」も必要以上に強化しなければならなくなり、その結果、多額の資金が必要になるのではないかと推測しているのです。
例えば、あなたが飲食店を営んでおり、「差別化」によりライバル店との競争に勝ちたいと考えているとします。
「差別化」が行われる対象を限りなく広く設定してしまった場合、誰もが「他の店にはない美味しい味だ!」と感じられるようなメニューを創り出さなければならないので、とてつもない額の開発資金が必要になるだけでなく、このメニューを高名な美食家に推薦してもらえるなど、様々な幸運にも恵まれなければ「差別化」は成功しないでしょう。
一方、「差別化」が行われる対象を小規模な集団に限定した場合、彼らが「他の店にはない美味しい味だ!」と感じるようなメニューを創り出せれば良いので、対象となる小規模な集団のことをよく知り、彼らに共通する食べ物の好みを把握することができるのであれば、少額しか開発資金がなくても「差別化」を成功させる可能性は高いはずです。
差別化の規模と差別化の難易度の関係を見てみると……
このように、「差別化」の規模と「差別化」の難易度には明らかな相関関係があるように見えるのですが、その原因は「差別化」によって創り出される異質性の性格にあると考えられます。
なぜなら、異質性は対象を広げれば広げるほど、異質性の内容が曖昧になってしまい、異質性の持つ訴求力がどんどん弱くなってしまうからです。
先ほどの飲食店の例であれば、対象を限りなく広く設定してしまった場合、それぞれの好みを強引にまとめようとすると、かえって個性のない平凡な味になってしまうので、誰にでも強い印象を与えるような美味しい味を優秀な料理人を招いて開発させたり、精力的にプロモーション活動を行ったりするなど、訴求力が弱くなるのを防止するための対策を講じなければならなくなります。
しかし、対象を小規模な集団に限定した場合、どこに焦点を合わせるべきなのかを判断しやすいので、(的さえ外さなければ……)エッジの効いた美味しい味を開発できるはずであり、訴求力が弱くなるということはありません。
次回は、「差別化のリスク」について解説してみたいと思います。
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