スイッチングコストの存在を意識させることで……(中小企業だからこそできる価格戦略!その10)

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今回は、「価格上昇の影響を最小化するための方法」について考えてみたいと思います。

物価上昇が続いていますが……

このブログ記事を書いている2022年10月も物価上昇が続いていますが、中小企業の経営者であるあなたは、どのように対応しているでしょうか?

どのように対応していますか?

前回の物価上昇!その時に事業者が採るべき対策とは?(中小企業だからこそできる価格戦略!その9)でも述べたように、このまま原材料費の高騰による物価上昇(コスト・プッシュ・インフレーション)が続くと、どこかで値上げを決断しなければ、いずれは採算ラインを大きく割り込み、事業を継続することが難しくなります。

ただ、消費者の立場から見れば、原材料費の高騰による物価上昇(コスト・プッシュ・インフレーション)が続いているからといって、直ちに「消費者が相当と考える価値」も上昇するわけではありませんから、値上げは容易に受け入れられるものではありません。

そこで、製品やサービスの値上げを実施しても、消費者が他社の製品やサービスへ乗り換えるのを防止するために「スイッチングコスト」を高くするという方法について検討してみましょう。

スイッチングコストとは何か?

スイッチングコストについては、他社に乗り換えられないためには……でも解説したのですが、消費者が現在使用している製品やサービスを他の製品やサービスに変更する場合に生じるコストのことであり、金銭的な支出が伴うもの(金銭的コスト)、変更することによって生じる手間(物理的コスト)、心理的な負担(心理的コスト)から構成されます。

(金銭的コスト)

例えば、他社の製品やサービスへ乗り換えるにあたり、別に費用が発生するような場合(解約料や違約金のようなものが発生する場合をイメージしてみてください!)、いくら製品やサービスそのものの代金が安くても、それらを合計した金額が高ければ、消費者は他社の製品やサービスへ乗り換えるのを躊躇するはずです。

スイッチングコストには金銭的コスト・物理的コスト・心理的コストがある!

(物理的コスト)

例えば、他社の製品やサービスへ乗り換えるにあたり、何かしら手間がかかるような場合(操作方法などを覚え直さなければならないような場合をイメージしてみてください!)、いくら製品やサービスそのものの代金が安くても、そのような手間をかけたくないと思うならば、消費者は他社の製品やサービスへ乗り換えるのを躊躇するはずです。

(心理的コスト)

例えば、他社の製品やサービスへ乗り換えるにあたり、心理的な負担が生じるような場合(店員との関係性が非常に良好であったような場合をイメージしてみてください!)、いくら製品やサービスそのものの代金が安くても、そのような関係性を損ないたくないと感じるならば、消費者は他社の製品やサービスへ乗り換えるのを躊躇するはずです。

そのため、このようなスイッチングコストを十分に高くすることができるなら、消費者が他社の製品やサービスへ乗り換えるのを抑止することができるはずなのですが、価格戦略の観点からは、消費者に物理的コストや心理的コストの存在を意識させることで、「消費者が相当と考える価値」を上方へ修正させるキッカケにもなると考えられます。

スイッチングコストを高めることで「消費者が相当と考える価値」を高くできる可能性も!

そうだとすると、スイッチングコストを高くするという方法は、製品やサービスの値上げを推進するための手段としても、積極的に活用するべきものなのかもしれません……

次回は、「二重価格(インバウンド価格とローカル価格)の導入に対する是非」について解説したいと思います。

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