持続的に企業価値を向上させるためには、人的資本経営という選択は正しいと思うのですが……

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今回は、「人的資本経営」について解説してみたいと思います。

人的資本経営とは何か?

中小企業の経営者であるあなたは、「人的資本経営」という言葉を耳にしたことはないでしょうか?

「人的資本経営」という言葉を耳にするようになったが……

人的資本経営は、2020年9月に経済産業省から『持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~』が公表されたことで注目されるようになりましたが、要は、無形資産の中核をなす人材を重要な資本と捉え、この人材を活用することで企業価値の持続的成長を実現しようとする経営手法のことです。

尚、ここで言っている無形資産には、特許権や商標権などのように貸借対照表に計上されるものもありますが、自己創設のれん*を構成するブランド力や企業秘密にしているノウハウなどのような貸借対照表に計上されないものも多くあります。

*自己創設のれんとは、他社との競争において自社に優位性をもたらす源泉となるものであって、M&Aなどを行った際に貸借差額として貸借対照表に計上される買入のれんとは異なるものです。

無形資産と無形固定資産の関係

なぜ、人的資本経営が注目されるようになったのか?

人的資本経営が注目されるようになった背景には、企業価値の大きさに強い影響を与えている「自社の強み(=自社が他社よりも優れている点)」を生み出す源泉が、有形資産から無形資産へと変化してきたという事情があります。

ひと昔前のように経営環境が安定していた頃であれば、せっせと有形資産への設備投資を行い、キャパシティ(=企業活動の規模)を拡大することで、品質を犠牲にすることなく低コストを実現し、中長期的にも競争上優位に立つことができましたが、現在のように経営環境が大きく変化してしまうような時代になると、それだけでは厳しいというのが実情です。

そこで、現在のように経営環境が大きく変化してしまうような時代であっても、中長期的に競争上優位に立つためには、顧客から自社を強く支持してもらえるように他社との差別化をすることが必要とな、他社との差別化を行いやすい無形資産によって自社の強みが生み出されることが増えているのだと推察されます。

そして、このような無形資産を獲得するには「人材」が欠かせませんから、必然的に人的資本経営が注目を集めるというわけです。

有形資産が強みの源泉だと、資金さえあれば簡単にマネができる……

前に、従業員は資産か?それとも、コストか?(中小企業の人材活用術!その1)において、従業員を資産だと考えるべきか?それとも、コストだと考えるべきかについて考察しましたが、人的資本経営が注目されるようになってきているということは、今後、従業員をコストではなく資産だと考える企業の方が多数派になるのかもしれません。

但し、人的資本経営を本格的に導入するためには、長期に渡って人材育成をする必要があり、そのことは長期に渡る多額のコスト負担に耐えなければならないことを意味するため、多くの企業が人的資本経営を導入したとしても、一時的なブームに終わってしまう可能性は否定できないのですが……

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