職能給、本来は実力主義に基づいた給与のはずなのに……(中小企業の人材活用術!その12)

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今回は、「職能給」のポテンシャルについて考えてみたいと思います。

職能給とは何か?

中小企業の経営者であるあなたは、「職能給」に対して、どのような印象を持っているでしょうか?

どのような印象を持っていますか?

ちなみに、職能給とは、職務遂行能力に応じて金額が決定される給与のことです。

ジョブ型雇用の導入に前向きな中小企業の経営者は多いけど……(中小企業の人材活用術!その11)でも説明したように、「メンバーシップ型雇用」を行っている日本企業では、企業側の都合で適宜に配置転換することができるので、従業員の能力を査定する際には、従事する職務によって有利不利が生じないように配慮する必要があります。

そのため、本来ならば、職能給は実力主義に基づいた給与のはずなのですが、せっかく職能資格制度を導入しても、年齢や勤続年数に応じて職務遂行能力も向上するという簡便な扱いをしてしまう企業が多いことから、年齢や勤続年数に応じて給与額が決定される「年功給」と同じようなものだと思われることも少なくありません。

しかし、これについては、職務遂行能力を安易に年齢や勤続年数と結び付けてしまうことが問題なのであって、どのような能力が企業の高い成果に結びついているのかを細かく分析することで、本来の実力主義に基づいた給与制度に改めることができるはずです。

職務遂行能力を検討する際には……

上述したように、職務遂行能力を検討する際には、公平性の観点から、職務の枠を超えたものが選択されていますが、そうなると、当たり障りのない抽象的な内容の能力ばかりがリストアップされてしまい、査定の際に、考課者の裁量で恣意的な評価が行われてしまう危険性が高くなるので、かえって公平性を歪めてしまう恐れがあります。

職務遂行能力のイメージ図①

そこで、職務遂行能力を検討する際には、職務間の公平性考慮しながら、それぞれの職務ごとに必要な能力の内容を特定するようにするべきです。

但し、職務ごとに必要な能力の内容を特定してしまうと、職務を異動することで給与額が減額されてしまう可能性もあるので、この点については別に手当てをしなければなりません。

職務遂行能力のイメージ図②

そして、職務の種類が多ければ、それぞれの職務ごとに必要な能力の内容を特定するという作業は大変になりますが、それでも、従事する職務の内容に応じて給与額が決定される「職務給」を導入するために「ジョブディスクリプション(職務記述書)」を準備することを考えれば、こちらの方が負担は軽いと思います。

それに、中小企業の場合、大企業のように時間をかけて従業員の適性を見極めたり、育成したりするという余裕はないでしょうから、それぞれの職務ごとに、どのような能力が企業の高い成果に結びついているのかを予め把握しておけば、これらの情報を活用することで、短期間で従業員の適性を見極めたり、育成したりできるようになるはずです。

更に、従業員の側から見れば、どのような能力が企業の高い成果に結びつき、そのために自分が具体的に何をすれば高く評価してもらえるのかが明らかになるのですから、彼らを動機づけるという観点からもメリットがあるといえます。

このように、職能給のポテンシャルは高く、工夫次第で企業経営に活用できる余地は大きいと思うのですが、あなたの職能給に対する印象は変わったでしょうか?

次回は、「成果主義による人事評価」の恐ろしさについて解説したいと思います。

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