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今回は、「メンバーシップ型雇用」と「ジョブ型雇用」の優劣について考えてみたいと思います。
メンバーシップ型雇用とは何か?ジョブ型雇用とは何か?
中小企業の経営者であるあなたも、「メンバーシップ型雇用」や「ジョブ型雇用」という用語を聞いたことがあるのではないでしょうか?
これらの用語は、経団連が『2020年版経営労働政策特別委員会報告』などで取り上げたことで注目されるようになりましたが、メンバーシップ型雇用とは、日本型雇用とも呼ばれるもので、採用時に職務の内容や勤務地などが明確にされない雇用形態のことであり、ジョブ型雇用とは、採用時に職務の内容や勤務地などが明確にされる雇用形態のことです。
そのため、メンバーシップ型雇用の場合には、企業側の都合で適宜に配置転換することが可能というメリットがあり、ジョブ型雇用の場合には、職務の内容やその求められるスキルが明確化されるので、採用後に能力と処遇のミスマッチが起こりにくいというメリットがあります。
中小企業の場合……
あしたのチームが2021年2月17日に公表している「中小企業のジョブ型雇用に関する調査」<調査期間は2021年1月27日~1月29日、調査対象は全国の従業員数5名以上300名未満で人事評価制度がありジョブ型雇用を導入していない企業の経営者(20歳以上の男女)、有効回答は150人>によると、「あなたはジョブ型雇用についてどう思いますか。(複数回答)」という問いに対して、3.3%が「自社で導入したいと思う」、52.7%が「興味・関心はある」と回答しており、中小企業の経営者の半数以上がジョブ型雇用の導入に前向きなようです。
しかし、ジョブ型雇用に前向きな理由について見てみると、同調査の「あなたがジョブ型雇用に期待することをお答えください。(複数回答)」という問いに対して、60.2%が「成果の可視化による正当な評価(第1位)」、47.0%が「業績への貢献度に応じ適正な報酬を支払うこと(第2位)」と回答していることから、中小企業の経営者の多くがジョブ型雇用と成果主義による人事評価を結びつけ、ジョブ型雇用に対して過大な期待をしていることが窺えます。
確かに、ジョブ型雇用を導入すれば、上述したように、職務の内容やその求められるスキルが明確化されるので、能力と処遇のミスマッチは起こりにくくなりますが、それは職務の難易度を処遇に反映できるということであって、成果を評価するための明確な基準も自動的に設定できるという意味ではありません。
ですから、ジョブ型雇用を導入したとしても、成果を評価するための明確な基準が設定できなければ、従業員のモチベーションが下がるだけでなく、職務が硬直化することで組織としての柔軟性がなくなり、かえって企業の業績を下げてしまう危険があります。
尚、この点について、メンバーシップ型雇用やジョブ型雇用という用語の生みの親である労働政策研究・研修機構(JILPT)研究所長の濱口桂一郎氏は「ジョブ型雇用と成果主義は全くの別物である」と様々な場所で述べられています。
もしも、あなたが成果主義による人事評価を行いたいと思っているとしたら、ジョブ型雇用を導入しただけではダメだということは知っておく必要があるでしょう……
次回は、「職能給」のポテンシャルについて解説したいと思います。
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