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今回は、「区分表示の原則」についてお話ししたいと思います。
損益計算書の区分表示の原則とは何か?
中小企業の経営者であるあなたは、収益と費用が区分されていない損益計算書を見せられたら一体どう思うでしょうか?
そのような損益計算書であっても、おそらく最後のところに記載されていると思われる当期純利益を見れば最終的な利益についてだけは把握することができますが、それ以外の売上総利益や営業利益、経常利益などは自分で計算しないと把握することができないので、損益計算書を利用しようとする者にとって非常に不便であることは間違いありません。
そこで、企業会計原則では、損益計算書原則二の損益計算書の区分において「区分表示の原則」を定め、損益計算書においては、営業損益計算と経常損益計算と純損益計算の区分をそれぞれ設けることを要請しています。
このような規定を置くことで、あなたがいつも見ているような損益計算書の様式に統一され、損益計算書、最も重視すべき利益は……(中小企業経営者のための決算書入門!その4)で説明したような損益計算書の性質を有するようになるわけです。
貸借対照表の区分表示の原則とは何か?
一方、貸借対照表についても、資産と負債と純資産が区分されていないとしたら大変なことになります。しかも、その影響は損益計算書の場合よりも深刻です。
なぜなら、総額主義の原則が必要なのはなぜか?(中小企業経営者のための決算書入門!その13)でも説明したように、そもそも資産と負債と純資産は、収益と費用のような差し引き関係にはなく、資産と負債と純資産をそれぞれ区別して表示しなければ、それらを意味のある数字として利用することができないからです。
例えば、先ほど説明したように、損益計算書であれば、収益と費用の各科目を区別せずシャッフルして縦に並べたとしても、それぞれの金額を上から順に足したり引いたりしていけば、最終的には当期純利益を計算することができますが、貸借対照表の場合、資産と負債と純資産の各科目を区別せずシャッフルして縦に並べて、それぞれの金額を上から順に足したり引いたりしても、意味のある数字は計算できません。(資産をプラス、負債と純資産をマイナスとして計算すれば、最終的には0となるので、貸借が一致していることを確かめることはできるのですが……)
しかし、それらを資産や負債や純資産ごとに区別すれば、同じものどうしを加算することで、意味のある数字(資産の合計額・負債の合計額・純資産の合計額)を計算することができるようになります。
そこで、企業会計原則では、貸借対照表原則二の貸借対照表の区分において「区分表示の原則」を定め、貸借対照表においては、資産の部と負債の部と純資産の部の区分を設け、更に資産の部については流動資産と固定資産と繰延資産に区分し、負債の部については流動負債と固定負債に区分しなければならないことを要請しています。
このような規定を置くことで、あなたがいつも見ているような貸借対照表の様式に統一され、貸借対照表を理解するポイント教えます!(中小企業経営者のための決算書入門!その3)で説明したような貸借対照表の性質を有するようになるわけです。
次回は、「貸借対照表と損益計算書の繋がり」について解説してみたいと思います。
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