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今回は、「真実性の原則」について解説したいと思います。
真実性の原則とは何か?
中小企業の経営者であるあなたは、「企業会計の中で最高規範として位置付けられているものは何ですか?」と聞かれたら、直ぐに答えることができるでしょうか?
それは「真実性の原則」です。
そして、真実性の原則というのは、『企業会計原則』の一般原則一において「企業会計は、企業の財政状態および経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。」と規定されている原則のことです。
真実性の原則を理解する上でポイントになるのは、真実性の原則が要請している真実とは「絶対的真実」ではなく「相対的真実」を意味しているという点です。
つまり、真実とされる会計数値は唯一絶対のものではなく、一定の幅が認められていると解釈できるのです。(ちなみに、旧ドイツ商法では「貸借対照表真実性の原則」が規定されていたのですが、こちらは絶対的真実が求められていたと考えられています。)
尚、どこまでが真実として認められるのかについては、『企業会計原則』などの「一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)」によって判断されることになります。
又、その影響の大きさから、上場企業や大会社については、会計の専門家である公認会計士や監査法人による会計監査が義務付けられており、企業が公表する財務情報が真実性の原則に反していないのかを確かめることになっています。
なぜ、真実性の原則が要請している真実が「相対的真実」にならざるを得ないのか?
真実性の原則が要請している真実が「相対的真実」にならざるを得ない理由の一つとして、一般に公正妥当と認められる会計処理の原則や手続きが複数認められることが挙げられます。(経営者であるあなたも、複数の会計処理の原則や手続きが認められているために、どれを選択するべきなのか……と悩んだ経験はあるでしょう!)
確かに、一般に公正妥当と認められる会計処理の原則や手続きを一つだけに限定してしまえば、真実性の原則が要請している真実を「相対的真実」から「絶対的真実」へと近づけることができます。
けれども、それぞれの企業が置かれている環境は同じではないため、そのような場合に一つの会計処理の原則や手続きだけを強制してしまうと、環境の違いによる企業の実状を正しく反映させることができなくなり、企業会計の役割を果たすことができなくなるのです。
そこで、企業会計は、一般に公正妥当と認められる会計処理の原則や手続きの中から、企業の実状に応じて適切と判断されるものを自由に選択適用できるという「経理自由の原則」を採用し、その結果として、真実性の原則が要請している真実は「相対的真実」を意味することになりました。
但し、「経理自由の原則」は、企業の実状を正しく反映させることができる会計処理の原則や手続きが複数認められている場合の自由な選択を認めているのであって、会計処理の原則や手続きが複数ある場合の恣意的な選択までも認めているわけではないので注意が必要です。
あくまでも、企業の実状を最も正しく反映させることができる会計処理の原則や手続きを選択しなければならず、それを選択しない場合には真実性の原則にも反することになります。
次回は、継続性の原則についてお話ししたいと思います。
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