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今回は、「官僚制組織」についてお話ししたいと思います。
官僚制組織とは何か?
中小企業の経営者であるあなたは、「官僚制組織」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
もしかしたら、霞が関にある省庁で働く役人をイメージされたかもしれませんが、ここでいう官僚制組織とは、社会学者のマックス・ウェーバーが提示した理念的な組織のことであり、以下のような特徴を有する組織のことです。
- 職務は規則に基づいて行われる。
- 職務は専門性に基づいて分化している。
- 権限と責任は人ではなく、職位そのものに与えられる。
- 文書によって情報伝達が行われる。(=後から検証できるように証拠を残すということ。)
尚、このような特徴を有する官僚制組織ですが、実は、前回の続、組織は戦略に従う。(中小企業経営者のための組織論入門!その5)で紹介した「機械的組織」と同じものです。
健全さを保ちながら組織を大きくするためには……
従業員の人数が少なければ、経営者の目が届くこともあり、組織としてのあり方をそれほど意識しなくても何とかなりますが、従業員の人数が多くなってくると、何かしらの仕組みを整えなければ、組織として合理的に行動することができなくなります。
例えば、従業員が自分勝手に職務を行ったのでは、組織として整合性のとれた行動をすることができず、又、従業員同士で協業することすら難しくなってしまいますよね。
そこで、(ルーティン化している)職務を規則により定め、具体的内容についてはマニュアルを整備すれば、職務の内容が標準化されることで自分以外の従業員がどのような作業をしているのかが予測可能となり、いちいち調整を行わなくても組織全体としての統一性を保つことが可能になります。
つまり、健全さを保ちながら組織を大きくするためには、上述した官僚制組織の特徴を何らかの形で組織内に取り込む必要があり、そうでなければ、いつまでも職務の属人性(=特定の人物にしか職務ができない状態)が続くので、最悪の場合、職務の権限関係や指揮命令系統すらあいまいになってしまう危険があるのです。
その結果、従業員が自分の権利ばかりを主張し、企業内で権力闘争に明け暮れるようになるかもしれません。
官僚制が行き過ぎていると……
一方、官僚制が行き過ぎていると、次のような弊害(いわゆる官僚制化の弊害)が生じることも分かっています。
(1)イノベーションが起こらない
属人性を排除しようとするあまり、従業員の個性や創造性を過度に否定してしまい、彼らに創意工夫をしてイノベーションを起こす機会を失わせてしまう危険があります。
(2)規則を守ること自体が目的になる
規則の順守を強調し過ぎると、規則を守ること自体が目的になってしまい、本来の目的に照らせば当然やるべきことであっても、規則に違反するという理由だけで実行されない危険があります。
(3)経営環境の急激な変化に弱い
経営環境が急激に変化するような業種・業態に属している場合、規則の改定を頻繁に行うことは難しいので、新しい経営環境に適応した行動ができない危険があります。
もし、これらの弊害が生じているのなら、従業員が自律的に判断できる余地を増やすことが必要です。
次回は、「ジョブ型雇用」の導入が組織に与える影響について解説したいと思います。
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