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今回は、「事業転換」について考えてみたいと思います。
事業転換の可能性を検討することは……
中小企業の経営者であるあなたは、これまでに「事業転換」しようと思ったことはあるでしょうか?
ちなみに、事業転換とは、既存事業を廃止し(あるいは大幅に規模を縮小し)、新たに異なる事業を始めることをいいます。(『事業再構築指針』の定義とは異なります。事業再構築補助金の受給を検討している場合には『事業再構築指針』の定義をご覧ください。)
実は、コロナ禍のような有事の場合はもちろんのこと、たとえ平時の場合であったとしても、事業転換をすることは、企業を存続させるのに有効な手段だといえます。
なぜなら、企業が置かれている経営環境は絶えず変化しており、業績が悪化している(あるいは、そのような兆しが見えている)のであれば、そのような変化に対応していく必要があるからです。
そのため、企業経営を続けるために事業転換の可能性を検討することは、経営者にとって重要な使命だといえるでしょう。
多角化と比べて大きく違うのは……
一方、事業転換とよく似ているものに「多角化」があります。
私の解釈では、事業転換も多角化も、何かしらの変革が必要になるという点ではそれほど違いはありませんが、事業転換が既存事業を廃止(あるいは大幅に縮小)してしまうのに対して、多角化が既存事業を継続していく点に大きな違いがあると考えています。
そうだとすると、使える経営資源に制約がある中小企業にとっては、必要となる経営資源の量が大幅に増えてしまう多角化よりも、そうではない事業転換の方が選択しやすいということになるはずです。
実際、2013年版『中小企業白書』の第2部第2章第1節の第2-2-1図を見てみると、従業員数が少ない製造事業所ほど、新事業展開に占める事業転換の割合が多いことがグラフで示されています。
尚、どのようなパターンの事業転換を選択するべきなのかについては、多角化の水平型・垂直型・集中型・コングロマリット型という4つのパターンが参考になります。
つまり、多角化の4つのパターンを以下のような事業転換における4つのパターンに読み替えて参考にすればよいのです。
(1)水平型:既存事業で培った技術や経験を活かし、既存事業と同じ分野の別の市場へ事業領域を移していくという形の事業転換のパターンです。
例えば、これまで和食専門だった飲食店が、世間の流行に合わせて洋食専門の飲食店に変更するというケースなどがこれに該当します。
(2)垂直型:既存事業が属するサプライチェーンの上流や下流へ事業領域を移していくという形の事業転換のパターンです。
例えば、これまで飲食店を営んでいた企業が、今後は飲食店向けの食材を生産・販売するようになるというケースなどがこれに該当します。
(3)集中型:既存事業で培った技術や経験を活かし、既存事業と異なる分野の市場へ事業領域を移していくという形の事業転換のパターンです。
例えば、これまでの飲食店経営で培った技術や経験を活かし、飲食店向けのコンサルティング業に商売替えをするというケースなどがこれに該当します。
(4)コングロマリット型:もはや既存事業で培った技術や経験を活かせないような異なる分野の市場へ事業領域を移していくという形の事業転換のパターンです。
例えば、これまで飲食店しか営んだことがない企業が、儲からなくなった飲食店の代わりに不動産業を始めるというケースなどがこれに該当します。
次回は、「多角化」についてお話ししたいと思います。
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