この度は、白石茂義公認会計士事務所のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回は、「クラスター」について解説してみたいと思います。
クラスターとは何か?
中小企業の経営者であるあなたは、「クラスター」と聞いて、どんなものをイメージするでしょうか?
もしかしたら、集団感染をイメージされたかもしれませんが(というか、そうイメージされる可能性の方が圧倒的に高いとは思いますが……)、そもそも、クラスターとは集団や群れのことであり、これから説明したいクラスターとは、特定分野に関係する企業や専門機関などが地理的に集中している状態のことです。
例えば、私の事務所がある今治市では、造船に欠かせない特殊技能を持つ企業が集まり、造船業のクラスターが形成されています。
尚、クラスターが形成されるのは、
- 専門性の高い人材が多く集まることで、異なる視点からの専門的知見が得られるようになる。
- 業界の関係者と交流することで、最新の情報や業界のトレンドに関する情報を容易に入手できる。
- 接触する頻度が多くなることで、ビジネスをする上で必要な人材や提携先を見つけやすくなる。
- 1. から3. で挙げたような事情からイノベーションが起こりやすく、新規事業のチャンスが必然的に多くなる。
といったメリットが得られるからだと言われています。
シリコンバレーや東京で起きていること……
ハイテク産業のクラスターの例として取り上げられることが多い「シリコンバレー」ですが、2020年12月2日の日経新聞でヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)がシリコンバレーから本社を移転すること、又、2020年12月12日の日経新聞でオラクルがシリコンバレーから本社を移転することがそれぞれ報じられています。
更に、2020年12月10日の日経新聞では、本社の移転ではないものの、電気自動車(EV)の大手であるテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、生活拠点をシリコンバレーから移したことが報じられています。
新聞記事を読むと、“脱シリコンバレー現象”が生じているのは、コロナ禍によって、シリコンバレーに活動拠点を持つことが “コスト高”になったからのようですが、その背景には、シリコンバレーが持つクラスターとしての魅力が感じられなくなってきていることも理由としてあるようです。
つまり、コロナ禍によって、人と人とのリアルな接触が制限され、テレワークなどのITを介したコミュニケーションが頻繁に行われるようになったことで、これらがリアルでのコミュニケーションとほとんど遜色がないことが実証されてしまったために、シリコンバレーに活動拠点を置く必要性が低くなったと考える企業が増えているようなのです。
日本の場合も、多くの企業が活動拠点を東京に置いているために、東京が様々な産業のクラスターになっていますが、コロナ禍によるクラスター(=集団感染という意味の方!)を避けるためにテレワークが普及したことで、「わざわざ高いコストを負担してまで、あえて東京に活動拠点を置く意味が本当にあるのか?」と検討を始める企業が登場するようになりました。
今後、このような流れが本格化するかどうかは、新型コロナウイルスの影響がどれくらい続くのかにもよりますが、クラスター(=集団感染という意味の方!)を避けるために、クラスター(=特定分野に関係する企業や専門機関などが地理的に集中している状態のことの方!)が解消されるのだとしたら、何とも皮肉な話に思えてなりません……
次回は、「事業転換」についてお話ししたいと思います。
白石茂義公認会計士事務所では、士業コンシェルジュというコンセプトのもと、特に、愛媛県松山市、今治市、新居浜市、西条市の経営者の皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
必要の際には、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。