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今回は、コンビニの「無人店舗」や「省人店舗」の問題点について考えみたいと思います。
顧客がコンビニに対して高い価値を感じているのは……
中小企業の経営者であるあなたは、人手不足への対策を何かしているでしょうか?
新聞報道などを見ると、コンビニ各社は人手不足の対策として「無人店舗」や「省人店舗」の実現を本気で検討しているようです。
ただ、コンビニの“無人化”や“省人化”の実態が新聞報道などで伝えられている通りなのだとしたら、私個人の意見としては、コンビニ各社は自分たちの優位性を一方的に失ってしまうのではないかと危惧しています。
なぜなら、顧客がコンビニに対して高い価値を感じているのは、コンビニの従業員が“対面販売”で様々な商品やサービスを提供している部分(レジ周りの商品販売や様々な代行サービスの部分)だと思っているからです。
それに、コンビニが「無人店舗」や「省人店舗」の実現を目指しているのは、あくまでもコンビニを経営している側の都合であって、顧客の側からすれば、何らかの負担を求められることはあっても、“無人化”や“省人化”が価値を生み出すことはありませんから、コンビニの「無人店舗」や「省人店舗」を待ち望んでいる人はとても少ない気がします。
技術革新による“無人化”や“省人化”との相性を考えてみると……
もちろん、顧客にとってメリットはなくても、環境問題に対する企業の取り組みのように、コンビニの「無人店舗」や「省人店舗」が、日本全体が抱えている人手不足の問題への前向きな対策の一つとして、批判されることなく顧客に受け入れてもらえる可能性はあるでしょう。
けれども、私の考える限り、技術革新による“無人化”や“省人化”は、コスト削減によって「低価格」の実現を目指す企業戦略とは相性がとても良いのですが、労働集約型産業に属しながらも「高付加価値」を志向しているコンビニの企業戦略との相性はあまり良くないように思えます。
例えば、低価格を武器に事業を展開しているディスカウントストアなどは、“無人化”や“省人化”の技術が普及すれば、営業時間を長くすることで利益を増やせるようになりますし、顧客の側も、価格は安く、かつ、営業時間も長くなって便利になるというメリットを享受できるようになるはずです。
そうなると、ディスカウントストアの「無人店舗」や「省人店舗」が増えることで、コンビニの「無人店舗」や「省人店舗」と競争になるでしょうから、品揃えや物流面でコンビニにある程度の優位性があっても、これまでのように顧客が利便性に差異を感じなければ、ディスカウントストアとの価格競争に巻き込まれる危険が高まります。
このように、人手不足への対策として、効率化や自動化という流れの延長線上で「無人店舗」や「省人店舗」を技術的に実現するという発想だけでは、ディスカウントストアなどの他の業態との間にあった垣根をわざわざ自分で壊してしまうだけであり、本当の意味での問題解決にはなりません。
そうだとすると、「無人店舗」や「省人店舗」にすることで得られる利益を顧客にどのような形で還元していくのかを本気で考えることが、コンビニというビジネスモデルを今後も続けていくためのカギになるのではないでしょうか?
次回は、「ゼロベース思考」についてお話ししたいと思います。
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