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今回は、「株主の権利と株式の関係」について解説してみたいと思います。
自益権と共益権
あなたが経営している会社では、株主は経営者であるあなた一人だけでしょうか?
実は、あなたが経営している会社以外にも、中小企業なのに「一人会社*1」ではないケースは意外に多いのです。
*1株主が一人だけの会社のこと。
しかし、株主は会社に対して様々な権利を有しており、彼らの意向を全く無視して会社経営を行うことはできません。
尚、株主の権利は「自益権」と「共益権」の2つに分けることができます。
自益権というのは、経済的利益を追求することを目的とする権利であり、例えば、剰余金の配当を受ける権利や残余財産の分配を受ける権利などが該当します。
又、共益権というのは、会社経営に関与することを目的とする権利であり、例えば、株主総会での議決権などが該当します。
ちなみに、株主は株式の引受価額を限度として会社に出資する義務を負いますが、実際には、出資の履行をすることで株式を取得することになるため、株主になった時点では義務は事実上ないことになります。それに、株式会社では株主有限責任の原則が採用されているので、出資した額以上の責任を負うことはありません。
株主平等の原則と種類株式
会社法では、「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」という株主平等の原則の定めを置いています。
この原則が意味するところは、株式会社は株式の内容に応じて株主を平等に扱わなければならないということ、及び、株式数に応じて株主を平等に扱わなければならないということです。
ですから、種類株式(=内容の異なる株式)を発行することで、それぞれの株式ごとに取扱いを変えることが可能になります。
例えば、議決権制限種類株式であれば、株主総会での議決権の行使が制限されることになりますし、拒否権付種類株式(いわゆる黄金株)であれば、定款でその旨を定めることで、通常の株主総会の決議に加えて、当該種類株式の総会決議が必要となります。
このように、株式会社では種類株式を活用することで、株式の種類ごとに権利内容を制限したり、拡張したりすることができますが、このことは会社の側だけでなく、株主の側にも、自分のニーズに合致した内容の株式を発行してもらった方がありがたい場合があるので、両者にとってメリットがあります。
そのため、前回の募集株式の発行等による資金調達(中小企業経営者のための会社法入門!その6)で説明したようなケースであっても、種類株式を活用すれば、既存株主の利益と会社の資金調達の便宜を上手く調整することが可能になるはずです。
それに、株式譲渡制限会社(=株式の譲渡について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている株式会社)の場合には、株主総会で特殊決議*2を経れば、剰余金の配当を受ける権利や残余財産の分配を受ける権利、株主総会での議決権に関する事項について、株主ごとに異なる扱いを行う旨の定めを定款に設けることができます。
*2総株主の半数以上であって、かつ、総株主の議決権の4分の3以上の賛成があること。
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