DPO(ディスカウント・ペイオフ)により不良債権を処理する?(中小企業経営者のための事業再生!その15)

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今回は、「DPO(ディスカウント・ペイオフ)」について考えてみたいと思います。

これからは銀行との交渉がもっと難しくなる……

前回の計画通りに事業再生が進んでいない場合には……(中小企業経営者のための事業再生!その14)でも説明したように、貸付先に「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(略して、「実抜計画」といいます。)」などの要件を満たした経営改善計画を策定させることで、銀行は多額の貸倒引当金を計上することを回避できるのですが、計画通りに再建が進んでいない場合、多額の貸倒引当金を計上しなければならなくなります。

多額の貸倒引当金を計上すると、それだけ銀行の業績が悪くなってしまう……

そのため、計画通りに再建が進んでいない融資先の債権について、最悪の場合、銀行は不良債権としてオフバランス処理を加速させていく恐れがあります。

プロパー融資の場合にはどうなるのか?

銀行の融資には、大きく分けて「信用保証協会の保証付きの融資」と「プロパー融資(=信用保証協会の保証が付いていない融資のこと)」があります。

この内、再建が計画通りに進んでいない場合の信用保証協会の保証付きの融資がどうなるのかについては、前回の計画通りに事業再生が進んでいない場合には……(中小企業経営者のための事業再生!その14)で説明しましたので、今回は、プロパー融資の場合にはどうなるのかについて説明したいと思います。

プロパー融資の場合であっても、不動産等の担保が設定されているなら、債権者である銀行は、競売を申し立てることで、その売却代金を債権回収に充てることができます。

しかし、一般的には、競売をすると市場価格よりも大幅に安い価格で売却されることが多いため、相応の手間とコストをかけて競売を行っても、債権額の全部を回収できる保証はありません。

競売という方法もあるが……

そこで、このような競売をした後の担保がついていない債権などについては、「DPO(ディスカウント・ペイオフ)」によって、不良債権の処理がされる可能性があります。(もちろん、状況によっては、担保がついた債権でもDPOが行われる場合もあります。)

DPOとは、銀行が持っている債権を元金よりも低い価格でサービサーに売却し、その後、債権を買い取ったサービサーから、債務者が元金よりも低い価格で債権を買い取るという方法のことです。

尚、サービサーとは「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が施行されたことにより誕生したもので、債権の回収業務を専門的に行う会社のことです。サービサーとして認められるためには、法律の要件をクリアし、法務大臣の許可を受ける必要があります。

DPOのイメージ図

DPOを実行することで、債権者である銀行にとっては、不良債権をオフバランス処理することができ、又、不良債権の売却損を税務上損金として処理することが可能になります。

一方、債務者である企業にとっても、サービサーとの交渉によって、元金よりも低い価格で返済問題を解決することが可能になりますが、それにより多額の「債務免除益」が生じるので、「繰越欠損金」を使うなどして、税金の対策をしておく必要があるでしょう。

次回は、「任意売却」についてお話ししたいと思います。

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