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今回は、事業再生の場面における「資金繰りの手当て」について考えてみたいと思います。
資金繰りがとても重要なのは……
中小企業の経営者であるあなたもご存じのように、企業経営において、資金繰りがとても重要なのは、支払いができなくなると取引を止められてしまうからです。
そして、事業再生というのは、まさに、この支払いに問題が生じた企業が行うものですから、事業再生が成功するかどうかは、この間の資金繰りがどうなるのかによって決まるといっても過言ではありません。
資金繰りを悪化させないために……
事業再生が必要な企業というのは、ただでさえ資金繰りが上手くいっていないのですから、これ以上資金繰りを悪化させないためにも、できるだけ早く、以下のような手当てをする必要があります。
1.収入を増やす
最終的には、売上を回復させて収入を増やさなければ、本当の意味で事業再生を成し遂げたことにはなりません。けれども、普通に考えれば、経営不振に陥った原因を短期間で克服するのはとても難しいので、他の方法を併用することで問題解決のための時間を稼ぐ必要があります。
尚、不採算な事業から撤退することで一時的な収入を得るという方法は、中小企業の場合、たとえ状況の把握(デューデリジェンス)をしたとしても……(中小企業経営者のための事業再生!その4)でも述べたように、中小企業の場合には、売却可能な遊休資産を持っているようなケースは少ないため、この方法で必要な資金を捻出することは難しいでしょう。
2.支出を減らす
経費などを削減することで支出を減らすという方法は、明らかに無駄な支出があることが分かっているような場合であれば効果的ですが、むやみに経費を削減したりすると、売上を減少させ、かえって資金繰りを悪化させる危険があります。それに、削減できる額も思うほど多くありません。
又、不採算な事業から撤退することで支出を減らすという方法は、中小企業の場合、たとえ状況の把握(デューデリジェンス)をしたとしても……(中小企業経営者のための事業再生!その4)でも述べたように、中小企業の場合には、そもそも単一事業しか行っていないケースが多く、この方法を採用することができない場合が多いです。
3.入金や出金のタイミングを変更する
この方法は、不用意に信用不安を広げてしまうと取り返しのつかないことになるので、交渉する相手を間違えないようにすることが重要です。又、交渉相手を信用させるだけの十分な根拠を提示する必要もあります。
4.追加の事業資金を調達する
ファンドや補助金・助成金などにより事業資金を調達する方法もありますが、実際には、事業再生が必要な企業からの依頼に応じてくれる可能性は低いです。それでも、事業再生のための時間をできるだけ稼ぐために、少なくとも、取引銀行や日本政策金融公庫には融資の問い合わせをしてみるべきでしょう。
但し、いくら切羽詰まっているからといって、ノンバンクなどから高金利で借入れをするのは、問題なく返済できるのかを慎重に考えた上で決める必要があります。場合によっては、資金調達を断念して廃業することを選択する勇気も必要です。
次回は、「代位弁済」についてお話ししたいと思います。
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