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今回は、会計基準と経営判断の関係について考えてみたいと思います。
会計が経営に影響を及ぼすことはあるのか?
以前、経営が先か?それとも、会計が先か?(経営と会計の気になる関係?その1)でも説明しましたが、経営と会計*の順番については、「まず経営が先にあって、その後に会計が続く」という関係になるのであって、「まず会計が先にあって、その後に経営が続く」というような関係になることはありません。
*ここでいう会計とは、決算書などを作成するために行われる制度会計のことを指しています。
但し、これはあくまでも経営と会計が行われる順番についての話ですから、会計が経営に何ら影響を及ぼすことがないという意味ではなく、例えば、守るべきルールとしての会計基準の内容が経営判断に影響を及ぼすというようなことは当然あり得ます。
そこで、その具体例として「リース取引」について考えてみましょう。
リース取引の場合には……
中小企業の経営者であるあなたもご存じのように、リース取引とは、特定の資産の所有者である貸手(レッサー)が、合意された期間(リース期間)に渡って、使用収益する権利を借手(レッシー)に与え、借手は合意された使用料(リース料)を貸手に支払う取引のことをいいます。
このようなリース取引が登場したのには、経営者の側に、固定資産をオフバランス処理したいというニーズや、固定資産を費用化する期間をできるだけ短くしたいというニーズがあったこともありますが、当時の会計基準に“付け入るスキ”が十分にあったことも大きな理由の一つでしょう。
そのため、リース取引の実態としては、資産を購入している場合とほとんど変わらないのにも関わらず、借手に所有権が直ちには移転しないことを理由に、固定資産をオフバランス処理することや、固定資産を費用化する期間を短縮することが事実上可能でした。
しかし、その後、会計基準(と税務上の取り扱い)が変更され、現在では、所有権が移転しなくても、ファイナンス・リース取引に該当するものについては、原則として、オンバランス処理をすることが必要になっています。
確かに、リース取引のメリットは会計上のメリットだけではありません(購入する場合に比べて事務手続きが簡便である等のメリットがあります!)が、このような会計基準(と税務上の取り扱い)の変更が経営判断に与えた影響は大きかったはずです。
国際会計基準(IFRS)では……
実は、国際会計基準(IFRS)等では、リース取引に対する捉え方を見直すことで、オンバランス処理をすることが必要な範囲を更に拡大しており、オペレーティング・リース取引であってもオンバランス処理をすることが必要になる場合があります。
将来、国際会計基準(IFRS)等と収斂(しゅうれん)させる必要性から、日本の会計基準(と税務上の取り扱い)も同様に変更されるようなことになれば、それらがあなたの経営判断に与える影響は小さいとは言えないのではないでしょうか?
次回は、経営判断と二つの会計との関係について解説したいと思います。
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