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今回は、「貸借対照表と損益計算書の関係」についてお話ししたいと思います。
貸借対照表?それとも、損益計算書?
中小企業の経営者であるあなたは、日本の会計基準上、「貸借対照表と損益計算書のどちらが重視されているのか?」を考えてみたことはあるでしょうか?
おそらく、そんなことを考えてみたことはないと思いますが、結論から言うと、日本の会計基準で重視されているのは「損益計算書」の方です。(但し、会計ビッグバン以降は貸借対照表を重視する傾向が強まってきていますが……)
前に、資産・負債・純資産(資本)・収益・費用とはどのようなものか?(中小企業経営者のための簿記会計入門!その3)で、財産のようなものには該当しなくても、会計上は資産として扱われるものもあるとか、マイナスの財産のようなものには該当しなくても、会計上は負債として扱われるものもあるという説明しましたが、まさに、これが損益計算書の方が重視されているという証拠なのです。
尚、国際会計基準(IFRS)では、「貸借対照表」の方が重視されています。
資産・負債・純資産(資本)・収益・費用のどれに該当するのか?
ここに資産・負債・純資産(資本)・収益・費用と書かれた5つの容器があり、勘定名が書かれたボールをそれぞれの容器の中に入れていくという場面を想像してみてください。
日本の会計基準のように損益計算書の方が重視されている場合、正しい期間損益計算をすることが何よりも優先されることになりますから、収益や費用として計上することが望ましくないものは収益や費用の容器には入れられないので、資産か負債か純資産(資本)のどれかの容器に入れざるを得なくなります。
そのため、繰延資産のように、財産のようなものには該当しなくても、会計上は資産として扱われるものがあったり、債務性のない引当金のように、マイナスの財産のようなものには該当しなくても、会計上は負債として扱われるものがあったりするわけです。
一方、国際会計基準(IFRS)のように貸借対照表の方が重視されている場合、それぞれ資産や負債、純資産(資本)の要件を満たしているのかどうかが何よりも優先されることになりますから、資産や負債、純資産(資本)として計上することが望ましくないものは、資産や負債、純資産(資本)の容器には入れられないことになります。
何が言いたいのかというと……
ここまで説明をしてきて、「結局は何が言いたいの?」と思われたかもしれませんが、要は、日本の会計基準の場合、正しい期間損益計算をすることを優先しているために、粉飾決算などを行っていなくても、貸借対照表には、財産的な価値を有しているものだけが資産として計上されているわけでもないし、又、債務性を有しているものだけが負債として計上されているわけでもないのです。
中小企業の場合、そこまで意識をして決算書を作成したりはしていないでしょうが、そのような点まで注意を払って決算書を作成することができるようになれば、例えば、銀行と融資の交渉をする際でも、かなり説得力を持った決算書を提出することができるようになるのではないでしょうか?
次回は、「決算書の主人公(会計主体論)」について解説してみたいと思います。
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