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今回は、「事業の収益性を改善する手続き」について考えてみたいと思います。
本当に大事なのは……
リスケジュールの申し出なら簡単に応じてもらえるのか?(中小企業経営者のための事業再生!その7)から、第二会社方式を採用するという選択をしたなら、次は……(中小企業経営者のための事業再生!その11)まで、「借入金の返済に関する手続き」を中心に説明してきました。
しかし、これらはあくまでも事業再生を成功させるまでの“時間稼ぎ”のための対策でしかありません。
ですから、本当に大事なのは「事業の収益性を改善する手続き」の方なのです。
尚、事業の収益性を改善する手続きを行う際には、(規模が小さい中小企業の場合には難しいかもしれませんが……)遊休資産の売却や無駄な支出を削減するなど、すぐに効果が表れる手続きを実施できるような工夫が求められます。
なぜなら、事業再生を成功させるためには金融機関などの協力が不可欠となりますが、彼らの協力を取り付け、そして、彼らに協力し続けてもらうためには、どうしても彼らに早く成果を見せる必要があるからです。
それに、早く成果を出すことには、経営者や従業員に自信を持たせ、事業再生へ取り組む意欲を高めさせる効果も期待できます。
けれども、一方で、このような手続きの効果は限定的であることも多く、又、その効果もあまり長続きしないことがほとんどなので、このような手続きだけで事業の収益性を本格的に改善させることはできません。
そこで、経営環境の変化に適合するように事業の収益構造を見直すための手続きも併せて実施できるように配慮する必要があります。
但し、これらの手続きは、事業の収益性を本格的に改善させることはできても、成果が出るまでには時間がかかることが多いので、時間との競争になる可能性が高いでしょう。
時間をムダにしないためにも……
経営環境の変化に適合するように事業の収益構造を見直す際には、次の2点について留意する必要があります。
ひとつ目は、状況の把握(デューデリジェンス)を行う際には、先入観を持たないように意識することです。
なぜなら、「もうダメだ……」と思うような状況であっても、先入観を持たないことで意外なところから解決法が見つかったりするからです。
そのため、外部の専門家に協力を求める場合には、専門的な知識を有していることは当然ですが、過去の成功体験にとらわれず、臨機応変に思考できる専門家に依頼をする必要があります。
ふたつ目は、中小企業の経営者であるあなた自身が過去の成功体験にとらわれず、外部の意見に対しても素直に耳を傾けられるようになることです。
私自身もそうですが、人間は保守的でこれまでの行動を変えることをとても嫌いますから、「○○を□□に変えるべき」とアドバイスされても、変えなくてもよい理由をあれこれと探し出してきて、たちまち自己を正当化してしまいます。
これまでの行動を変えるような決断を直ちに下すことは難しいかもしれませんが、グズグズしていると時間をムダにするだけです。
次回は、事業再生の場面における「資金繰りの手当て」についてお話ししたいと思います。
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