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今回は、「DES(デット・エクイティ・スワップ)」について考えてみたいと思います。
DES(デット・エクイティ・スワップ)とは?
DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、債権者が有している債権を債務者が発行する株式と交換することをいいます。
このDESは、前々回の中小企業の場合、金融機関が債権放棄(債務免除)してくれることはまずないが……(中小企業経営者のための事業再生!その8)で説明した債権放棄(債務免除)と、前回のDDS(デット・デット・スワップ)という選択肢もありますが……(中小企業経営者のための事業再生!その9)で説明したDDSのちょうど中間に位置するものだと考えることができます。
DESを行うと、債権放棄を行った時と同じように債権そのものは消滅してしまいますが、債権放棄を行った時とは違って債務者に対する権利が一方的に消滅するわけではなく、株主として経営に関与することができるようになったり、利息に代わって配当収入を得られるようになったりします。
又、DESを行えば、債務者に対する権利の内容が債権から株式へ変更されることで、債務者である企業の負債が資本へ振替えられることになりますから、DDSの場合のように金融機関が自己査定*を実施する場面に限定されず、債務者の財務内容を改善させることが可能になります。
*自己査定とは、銀行などの金融機関が融資債権の状況を定期的に評価することです。
尚、DESには、債権を現物出資する「現物出資方式」と金銭出資及び債務の返済を組み合わせる「新株払込方式」がありますが、実務上は現物出資方式を用いる場合が多いです。
DES(デット・エクイティ・スワップ)の問題点
DESを行う場合、DDSの時とは異なり、債権の時価相当額が債権の額面金額を下回るような場合には、債務者である企業の側では、税務上は「債務消滅差益」として処理されてしまう可能性があります。
そのため、このような場合に課税されるのを避けるためには、「繰越欠損金」を使うなどの対処をする必要があります。
又、DESを行うことで、債務者に対する権利の内容が債権から株式へ変更されることになりますが、このことが債権者である金融機関には大きな障害となります。
まず、金融機関については、貸付先の経営を支配することを防止するために、銀行法などにより「5%ルール」が課せられているため、例外規定はあるものの、総株主の議決権の5%を超える議決権を原則として取得することができません。(現在は5%ルールの例外規定の拡充が行われ、事業再生などによる取得の要件が大幅に緩和されています!)
次に、たとえ議決権の問題をクリアして株式を取得したとしても、非上場の中小企業の株式の場合、これを株式市場などで自由に処分することができず、後で経営者やファンドなどが買い取ることが確実であったり、株式上場することが確実であったりするような事情でもない限り、取得した株式を換金することが事実上できません。
それどころか、相手は事業再生が必要な企業であることを考慮すると、将来処分することができない資産を抱え込まされる危険が高いと思うのが普通でしょう。
ですから、中小企業の場合には、DESが選択される可能性はかなり低いと考えておくべきです。
次回は、「第二会社方式」についてお話ししたいと思います。
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