リスケジュールの申し出なら簡単に応じてもらえるのか?(中小企業経営者のための事業再生!その7)

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今回は、「リスケジュール(通称リスケ)」について考えてみたいと思います。

銀行などの金融機関からすれば……

前回の事業再生を前に進めるには、経営改善計画の承認を得ることが必要だが……(中小企業経営者のための事業再生!その6)でも説明したように、中小企業を対象に事業再生が行われる場合には「リスケジュール」が選択されることが一般的です。

尚、リスケジュールとは、借入金の返済スケジュールなどを変更してもらうことです。

中小企業の場合、リスケジュールを選ぶことが一般的……

リスケジュールは債権放棄(債務免除)に比べれば、受入れのハードルが低いことは間違いありませんが、銀行などの金融機関がリスケジュールなどの申し出に応じた場合、基本的には、自己査定において、その貸付金を「貸出条件緩和債権(≒不良債権)」として扱うことになり、「要管理先」として、債務者区分をランクダウンさせて引当金の積み増しを行い、又、不良債権として開示しなければなりません。

そのため、金融機関からすれば、一度交わした約束を借り手の都合により反故にされるだけでなく、リスケジュールの申し出に応じるだけで損失を被ることになるので、リスケジュールの申し出には応じたくないというのが本音でしょう。

但し、債務者区分がランクダウンしてしまう問題については、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(略して、「実抜計画」といいます。)」や「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画(略して、「合実計画」といいます。)」の要件を満たした経営改善計画を策定することで解決できる可能性があります。

債務者区分と実抜計画、合実計画

リスケジュールのメリット・デメリット

リスケジュールが行われると、一時的に借入金の返済額が減少するので、企業の資金繰りが楽になるというメリットが生じます。そのため、経営者は事業経営に専念でき、事業再生に取り組めるようになります。

けれども、リスケジュールが行われると、新規の借入れが事実上できなくなるので、リスケジュールの申し出を行う前に必要な資金を確保しておかなければなりません。

又、金融機関から、金利の引上げや追加担保を要請されることがあり、最悪の場合には、危険を感じた金融機関が債権回収を強化する恐れもあります。

このように、リスケジュールにはメリット・デメリットがそれぞれありますが、複数の金融機関と取引をしている場合には、それぞれの金融機関で揉めないように、まずはメインバンクから交渉を始めていく必要があります。

もちろん、書面により合意がなされることは当然ですが、後で揉めることがないように、きちんと合意内容を確かめておくべきです。

特に、リスケジュールの期間については、借入金の条件変更を受ける期間(リスケジュールの対象期間)という意味なのか、それとも、リスケジュールの合意が有効に存続している期間(リスケジュールの有効期間)という意味なのかをきちんと確かめておかなければ、後で大変な目にあうかもしれません……

リスケジュールの対象期間とリスケジュールの有効期間

次回は、「債権放棄(債務免除)」についてお話ししたいと思います。

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