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今回は、「ABC(活動基準原価計算)とABM(活動基準原価管理)」について解説してみたいと思います。
ABM(活動基準原価管理)の場合はどうなのか?
前回、中小企業にABC(活動基準原価計算)は必要なのか?(管理会計のワナ!その12)で、ABC(活動基準原価計算)を零細な中小企業に導入することへの問題などについて説明しましたが、今回は、ABM(活動基準原価管理)について考えてみたいと思います。
製造間接費の合理的な配賦計算を目的とするABC(活動基準原価計算)に対して、ABM(活動基準原価管理)は、製造間接費の発生そのものを管理することを目的とするものです。
前回も説明したように、そもそも製造間接費というのは、その発生が一定単位の製品の生成に関して直接的に認識できない原価のことですから、どうやっても正確な配賦計算を行うことができず、合理的な配賦計算を行うことしかできません。
けれども、「製造間接費が何を起因として発生するのか?」ということについては、特定の活動と関連があることが分かっているのですから、“特定の活動に焦点を合わせた管理活動を行うことで、製造間接費の発生額そのものを減らせる可能性がある!”ということになりますよね。
そのような点で、零細な中小企業においては、ABC(活動基準原価計算)よりもABM(活動基準原価管理)の方が導入をするメリットが大きいといえるでしょう。
ABM(活動基準原価管理)の限界……
ABM(活動基準原価管理)では、原価作用因分析により、付加価値を生み出すことに貢献する「付加価値活動(value added activity)」と付加価値を生み出すことに貢献しない「非付加価値活動(non value added activity)」に分けることになります。
この内、企業活動を行う上で意味があるのは「付加価値活動(value added activity)」の方だけですから、「非付加価値活動(non value added activity)」については、できる限り早く削減していく必要があります。
但し、活動を減らしたとしても、必ず製造間接費の発生額を減らせるとは限りません。
なぜなら、活動の増減に応じて発生額も変化するようなものであれば、ABM(活動基準原価管理)によって活動の量を減らすことで発生額も減らしていくことができますが、そうでないような場合には、活動の量を減らすことだけでは発生額を減らすことができないからです。
そのため、このような場合には、活動を生じさせているリソース(資源)そのものを無くしてしまわなければ発生額を減らすことはできません。(例えば、本社のスタッフ部門の人件費は活動を減らしただけでは削減することはできず、従業員を辞めさせなければ削減することはできませんよね。)
又、ABM(活動基準原価管理)を導入する場合には、ABC(活動基準原価計算)の場合と違って、継続的に測定を行う必要はないのでその分負担は軽減されますが、それでも、零細な中小企業にとってはかなりの負担になるはずです。
このように、ABC(活動基準原価計算)と違って、ABM(活動基準原価管理)は零細な中小企業においても導入をするメリットがあるといえますが、その効果には一定の限界もありますから、導入するべきかどうかは慎重に検討した方がよいでしょう。
次回は、「スループット会計」についてお話ししたいと思います。
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