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今回は、事業再生のための手続きなどについて考えてみたいと思います。
私的整理の方法を選択するなら……
以前、あなたは事業再生のプロセスについてどれくらい知っていますか?(中小企業経営者のための事業再生!その2)で、事業再生の対象となる範囲は「再建型の倒産」とほぼ同じだと説明しましたが、実際には、取引先などの信用を損なう恐れがあることなどから、これらの内、「私的整理」の方法が選択されることが多いです。
そこで、私的整理を選択した場合に、中小企業再生支援協議会などが間に入ってくれるのであれば、彼らに第三者として調整してもらうことも期待できますが、そうでないのなら当事者間で交渉をする必要が生じます。
このような場合に備えて『私的整理に関するガイドライン』も公表されてはいますが、全ての私的整理を対象にしているわけでもなく、又、法的な強制力があるわけでもありませんから、結局は話し合いによる解決が基本的な手段となります。
当然、こちらの主張を受け入れてもらうには、それなりの理由がなければならないのは言うまでもありません……
事業再生のための手続きとは?
経営改善計画が金融機関や信用保証協会などの関係者に承認されると、計画に従って事業再生のための手続きが実施されることになりますが、事業再生のための手続きには、大きく分けて、1.借入金の返済に関する手続きと2.事業の収益性を改善する手続きがあります。
1.借入金の返済に関する手続き
この手続きには、A.借入金の返済条件を緩和してもらう方法とB.借入金そのものを減らして財務内容を改善する方法があります。
A.借入金の返済条件を緩和してもらう方法
この方法には「リスケジュール(通称リスケ)」が該当します。
中小企業の場合、会社資産と経営者の個人資産がきちんと区分されていないようなケースも多く、銀行などの金融機関は借入金を減らすことにはあまり同意してくれません。ですから、中小企業を対象に事業再生が行われる場合にはリスケジュールを選択することが多くなります。
B.借入金そのものを減らして財務内容を改善する方法
この方法には「債権放棄(債務免除)」 「DDS(デット・デット・スワップ)」 「DES(デット・エクイティ・スワップ)」 「第二会社方式」などが該当します。
種類としてはたくさんありますが、上述した理由から、中小企業を対象に事業再生が行われる場合にはあまり選択されません。
但し、状況によっては、財務的負担を軽くしなければ事業再生ができないような場合もあるので、これらの方法が例外的に選択される場合もあります。
これまで説明してきた借入金の返済に関する手続きは、事業の収益性が改善されるまでの時間稼ぎとしての側面が強く、これだけでは事業再生を成し遂げることができません。そのため、事業再生を成し遂げるには、事業の収益性を改善することがどうしても必要になってきます。
尚、事業の収益性を改善する手続きは、「事業デューデリジェンス」によって得られたデータや情報をもとに分析を行うことで具体化されます。
次回は、「リスケジュール(通称リスケ)」についてお話ししたいと思います。
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