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今回は、「状況の把握(デューデリジェンス)」をする場合の中小企業特有の事情について考えてみたいと思います。
状況の把握(デューデリジェンス)とは?
経営者が事業再生の必要性を決断し、金融機関や中小企業再生支援協議会、認定支援機関などにその旨の要請をすると、これらの機関は支援を要請している企業に対して「状況の把握(デューデリジェンス)」をすることになります。
ほとんどの企業で実施される「状況の把握(デューデリジェンス)」は、1.財務デューデリジェンスと2.事業デューデリジェンスです。
これら2つを先行して実施することで、まずは企業の概略を把握することに努め、必要に応じて法務デューデリジェンスや人事デューデリジェンス、税務デューデリジェンスなどを実施することになります。
1. 財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスは、数年分の決算書などを使って企業の状態を精査する形で行われます。ただ、決算書などの内容を額面通りに受け取るのではなく、実地調査を行ったり、財務以外の情報を収集したりして、実態貸借対照表や実態損益計算書を作成し、企業の実態について検証します。
2.事業デューデリジェンス
事業デューデリジェンスは、SWOT分析や3C分析などを実施することで行われます。これらの分析を実施することで、企業の立ち位置や企業の強み・弱みなどをできる限り把握し、事業再生を実施するに際して問題になりそうなことを事前に明らかにしながら、それらの対策を合わせて検討していくことになります。
中小企業特有の事情……
「状況の把握(デューデリジェンス)」を行う目的のひとつに、採算が取れている事業に経営資源を集中できるように、必要なものと不必要なものを見極めるということがあります。
けれども、中小企業の経営者であるあなたもご存じのように、中小企業の場合には、そもそも単一事業しか行っていないケースが多く、採算が取れている事業がどれかを見極めることは、企業全体として採算が取れているかどうかを判断しているのとほぼ同じ状態になってしまう可能性があります。
又、「状況の把握(デューデリジェンス)」を行っても、大企業の場合と違って、売却することが可能な遊休資産を持っていたり、余剰人員を抱えていたりするようなケースはあまり多くはないため、不必要な余剰資源を整理することで事業再生に必要な資金を短期間のうちに捻出するというようなこともほとんどできません。
しかも、中小企業の場合、経営管理や管理会計が必要であるという意識が弱いため、「状況の把握(デューデリジェンス)」を行うのに必要な基本的な情報でさえ収集に時間がかかるというケースも少なくないのです。
但し、この点については、経営者が経営管理や管理会計の必要性に目覚めることさえできれば、多少時間はかかったとしても、事業再生できる可能性があることを示唆していると考えることもできます。
そうであるなら、中小企業にとって「状況の把握(デューデリジェンス)」というのは、経営者が経営管理や管理会計の必要性に目覚めるキッカケとして重要なのかもしれません……
次回は、経営改善計画の策定支援についてお話ししたいと思います。
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