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今回は、経営者の決断の速さと事業再生支援の基本的な枠組みの関係について考えてみたいと思います。
ズルズルと決断を遅らせていても……
もし、中小企業の経営者であるあなたが、自社の業績が悪化していて、事業再生の必要性を少しでも感じているなら、躊躇したりせず、金融機関や中小企業再生支援協議会、認定支援機関などに事業再生の支援の要請をするなどの行動を早くおこすべきです。
なぜなら、時間が経てば経つほど、状況が悪化することは目に見えているからです。
それに、まだ傷が浅いうちであれば、自助努力で何とかなる可能性もありますが、傷が深くなってしまえば、もはや自力での再建は不可能となるので、迷惑をかけてしまう相手もどんどん増え、その影響額も大きなものになることが容易に予想されます。
ですから、あれこれと自分に言い訳をしてズルズルと決断を遅らせるのではなく、さっさと自分の誤りを認めることです。
自分の経営判断の誤りを認めたくないという気持ちは分からなくもありませんが、結局、その決断の遅れによるツケを払わされるのは自分自身です……
中小企業の事業再生支援の基本的な枠組み
中小企業の事業再生支援の基本的な枠組みとしては、少し古い情報になりますが、平成24年5月に金融庁から出されている『中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律に基づく金融監督に関する指針(コンサルティング機能の発揮にあたり金融機関が果たすべき具体的な役割)』が参考になります。
これによると、以下の3つの類型のどれに該当するのかによって(公的機関などの)支援の仕方が変わることが説明されています。
例えば、1.経営改善が必要な債務者(自助努力により経営改善が見込まれる債務者など)に該当するのであれば、外部の専門家や外部機関の助言や提案などの支援を受けることで解決が図られますが、2.事業再生や業種転換が必要な債務者(抜本的な事業再生や業種転換により経営の改善が見込まれる債務者など)に該当してしまうと、複数の事業再生の専門家による協力が必要となるために、中小企業再生支援協議会などと連携して解決が図られることになります。
更に、3.事業の持続可能性が見込まれない債務者(事業の存続がいたずらに長引くことで、却って、経営者の生活再建や当該債務者の取引先の事業等に悪影響が見込まれる債務者など)に該当するようだと、もはや事業再生の範疇では解決できない恐れが高いので、弁護士などと連携して、あなたは事業再生のプロセスについてどれくらい知っていますか?(中小企業経営者のための事業再生!その2)で説明した「清算型の倒産」を念頭に解決が図られることになるでしょう。
尚、実際にはどの類型に該当するのかが不明の場合もある(特に、1.経営改善が必要な債務者と2.事業再生や業種転換が必要な債務者のどちらに該当するのかが分かりにくい場合が多い)ので、そのような場合には暫定的な対策を行うことで状況の改善を図り、しばらくしてからその時の状況に適合した支援を行うこととされています。
次回は、「状況の把握(デューデリジェンス)」をする場合の中小企業特有の事情についてお話ししたいと思います。
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