金融検査マニュアルが廃止されたら……(融資のキホンの応用!その9)

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今回は、金融検査マニュアルが廃止された後どうなるのか?について予想してみたいと思います。

金融検査マニュアルが廃止される!

資金使途と融資方法の関係はどうなっているのか?(融資のキホンの基本!その6)でも触れていますが、2018年夏に検査局を廃止して業務を監督局に統合すること、そして、2018年度終了後をめどに金融検査マニュアルが廃止されることが金融庁から発表されています。

実は、金融庁による金融検査マニュアルの運用は事実上既に停止されている状態なのですが、地方金融をダメにしたと取り沙汰されている“金融検査マニュアル”が正式に廃止されることで、今後の銀行の融資姿勢がどのように変わるのかは気になるところです。

今後の銀行の融資姿勢はどのように変わるのか?

ちなみに、金融検査マニュアルと同じように地方金融をダメにしたと取り沙汰されている“信用保証制度”の方は、2018年4月に監督指針を改正し、金融庁は信用保証付き融資の条件を厳しくする予定だそうです。

金融検査マニュアルが廃止されても……

銀行格付け*」の前提になっている「債務者区分」は、金融検査マニュアルが廃止された後でも、名称の変更や区分する方法の変更などはあるとしても、何らかの形で残るものと思われます。

*銀行格付けというのは、銀行に対する格付けのことではなく、銀行が行う、銀行の顧客に対する格付けのことです。又、信用格付けと呼ばれることもあります。

銀行が、あなたの会社に融資したくないのはなぜか?(上手に資金調達しよう!その1)でも述べたように、もともとこれらは、金融検査マニュアルに記載されたことから始まったものですが、監査法人はこれらを参考に、金融機関の貸倒引当金の計上などが適切に行われているかどうかの判断を行っており、金融検査マニュアルが廃止されからといって、債務者を区分する基本的な考え方まで廃止されてしまうと、会計監査の前提が成り立たなくなる恐れがあるからです。

債務者区分は財務会計の観点からも必要です!

そのため、金融検査マニュアルを廃止したとしても、債務者の財務状態に応じて、貸倒引当金の引当率を変えると同時に費用計上しなければならないという状況は変わらないはずです。(しかも、多くの場合は有税処理により行わなければなりません……)

もちろん、“融資をするかどうかの判断”と“債務者区分をどうするかの判断”とを連動させる必要はありませんので、金融検査マニュアルが廃止されることで、銀行の主体的な判断によって、貸出先の財務状況が悪くても融資をしやすくはなるでしょう。

けれども、そのような判断をするには、銀行もそれなりのリスクを負担しなければならず、又、高い引当率の貸倒引当金を積む必要があることから、自行の財務状況を悪化させることを覚悟の上で決断しなければなりません。 

経営状態が良好で自己資本も多いような銀行であれば、そのような英断を行うこともできるでしょうが、日銀が2016年から行っているマイナス金利政策の影響で、多くの銀行は業績をかなり悪化させていますから、体力のない銀行が「貸出先の財務状況が悪くても融資を実行する!」という判断をすることは、実際にはかなり難しいのではないでしょうか?

そうだとすると、金融庁の思惑通りには……

次回も、この続きを担保の解説を交えてお話ししたいと思います。

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