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今回は、「貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)」について解説したいと思います。
経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の会計上の取扱い!
中小企業の経営者であるあなたもご存じのように、企業経営をする上で必要となる経営資源にはヒト・モノ・カネ・情報の4つがあると言われていますが、企業会計上、これらの取扱いは全く異なってきます。
例えば、モノ*やカネについては、入手時に資産としてオンバランス(=貸借対照表に計上すること)処理しなければならないのに対し、ヒトについては、オンバランス処理することは認められませんが、給料などの支払額を費用処理しなければなりません。
又、情報については、外部から購入してきたものについてはオンバランス処理(あるいは費用処理)しなければならないのに対し、自分で創り出したものについては、そもそもオンバランス処理することが認められない、つまり、オフバランス(=貸借対照表に計上しないこと)処理しなければなりません。
*少額のものについては、費用処理が容認されます。
なぜ、取扱いに差があるのか?
企業経営をする上で必要な経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報には、共に価値を有するという点では共通していますから、価値の有無によって、オンバランスとオフバランスの処理が分かれているわけではありません。
それでは、何によって、オンバランスとオフバランスの処理が分かれるのでしょうか?
実は、「貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)」の要請によって、これらのオンバランスとオフバランスの処理は分かれると考えることができます。
ちなみに、貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)とは、企業会計は貨幣額によって行われるという前提のことですが、それは同時に、貨幣額によって価値を客観的に測定できるものだけを企業会計の対象にすることを要請していると解釈できます。
カネについては、貨幣そのものですから、特に異論はないでしょう。
又、モノについては、その価値に等しい金額を支払って市場から購入してくるケースがほとんどですから、この支出額を基準に価値を貨幣額によって客観的に測定することが可能です。まれに、無償もしくは低廉取得したような場合であっても、市場の価格を参考にすれば、これを基準に価値を貨幣額によって客観的に算定することは可能なはずです。
一方、ヒトについては、価値を貨幣額によって客観的に測定することはできません。
企業が人を雇うのは、その人を雇うことで、給料以上の働きをしてくれることを期待しているからですが、その価値がどれくらいなのかは測定する者によって違ってくるからです。
それに、人を値踏みすることは道徳的に問題があるということもあるでしょう……
そして、情報についても、その価値がどれくらいなのかは測定する者によって違ってくるため、価値を貨幣額によって客観的に測定することはできませんが、例外的に、外部から購入してきたものについては、支出額を基準に価値を貨幣額によって客観的に測定することができます。
このように、オンバランスとオフバランスの処理の違いは、「貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)」の要請によるものだと考えることができますが、企業の本当の強みは、企業が自分で創り出したノウハウ(情報)や人(ヒト)のはずですから、企業会計上、これらがオンバランスされていないというのは……
次回は、「収益認識」についてお話ししたいと思います。
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