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今回は、危険な兆候をつかんだ時の対応などについて説明したいと思います。
取引先の危険な兆候をつかんだら……
取引先の危険な兆候をつかんだら、最悪の場合にどれくらいの損失が生じるのかをいち早く把握する必要があります。
そのため、まずは、その取引先に対する債権残高がどれくらいあるのかを確かめます。
この時に、日ごろの債権残高管理業務がいいかげんだと、現時点の債権残高を適時に把握することができません。
次に、その取引先との契約内容を再確認します。
実は、契約が残っている取引がある場合には、仮に取引先が支払期日に支払いをしない場合であっても、法律上、直ちに契約を解除することは基本的にはできません。
ですから、このような場合には、取引先に対して催告(=契約内容の履行を請求すること)をしたり、今後の取引について交渉したりする必要が生じます。
但し、契約書を取り交わす際に、あらかじめ「無催告解除の特約」を定めていれば、契約解除の条項に定めた事態が生じたことを理由に、契約を一方的に解除することが可能になります。
信用不安が起きてからだと……
取引先の危険な兆候をつかんだ時の与信管理における最も望ましい対応は、徐々に取引を縮小していき、問題が表面化して不良債権化する前に撤退する(=取引をやめる)ことです。
信用不安が起きてから債権保全のための対策をしようとしても、多くの場合は既に手遅れの状態であり、残念ながら有効な対策はほとんどありません。
例えば、担保(物的担保・人的担保)を取るなどの対策は、信用取引を開始する時に行うのが最もやりやすいですし、信用不安が起きてから行っていたのではあまりにも遅すぎます。(担保を取れたとしても、後順位ではほとんど回収できません!)
又、訴訟などの裁判手続きによる対策だと、法律上の様々な手続きを踏まなければなりませんので、そのための手間や時間、費用を考えると割に合わない場合が多いです。
このような中で、比較的効果がある債権回収の方法として「相殺」が考えられます。
相殺とは、双方の間に相対立する債権がある場合に、一方の意思表示により、双方の債権の対当額を消滅させることです。
もし、信用不安が起きている取引先に対して債務がある場合、同額だけ債権を相殺することで実質的な債権回収ができることになります。
他にも、比較的効果がある債権回収の方法として、売掛金を手形にする際に、単名手形(=取引先自身が振り出した手形のこと)ではなく、「廻り手形(=第三者が振り出した手形を取引先が裏書したもの)にしてもらう方法」が考えられます。
これは、取引先が資金繰りに窮することを想定して、あらかじめ取引先に代わって手形を振り出した第三者に支払ってもらうこと狙った方法です。
入金がずっと先の場合、”まだ大丈夫”と思っていても、想定以上に取引先の状態が悪化することも考えられますから、検討してみる価値はあるのではないでしょうか?
次回も、危険な兆候をつかんだ時の対応などについてお話ししたいと思います。
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