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今回は、危険な兆候の例などについて説明したいと思います。
取引先の危険な兆候をつかむのは簡単じゃない……
中小企業の経営者であるあなたは”どのような事象が取引先の危険な兆候に当たるのか?”をちゃんと理解できているでしょうか?
取引先の危険な兆候を大きく分けると、「業績の悪化」「財政状態の悪化」「資金繰りの悪化」の3種類に分類できます。
それぞれの例を示してみると、
業績の悪化・・・売上の減少が何年も継続している、利益が減少して赤字に転落している
財政状態の悪化・・・不良債権が増えている、不良在庫が増えている
資金繰りの悪化・・・極端に経費を削減している、短期借入金が異常に増加している
などが挙げられますが、これらの兆候をいち早くキャッチするには、取引先の財務情報を適時に入手して、財務分析をする必要があります。
しかし、ただの取引相手の一人でしかない立場では、これらの情報を適時に入手することがそもそも困難であり、たとえ入手できたとしても粉飾されている(=数字を操作されている)可能性もあって簡単ではありません。
そこで、与信管理の極意は複数の情報源からの情報収集にあり!(中小企業こそ与信管理が大事!その10)や与信管理における情報分析のポイント!(中小企業こそ与信管理が大事!その11)でも解説したように、複数の情報源を確保することで、迅速に情報を入手できるようにすると共に、入手した情報を照合することで、情報の信頼性を確かめることが必要になってきます。
与信管理をする上で本当に大事なのは?
例えば、「X社ではダンピング(=採算度外視の安売りのこと)が常態化している」といったような取引先の業績の悪化を直接示唆する情報を入手した時はそれなりに反応できるでしょうが、「当社のX社に対するA商品の販売量が急に増加している」といったような情報を受け取った場合、あなたは「この情報が何を示唆しているのか?」を立ち止まって考えることができるでしょうか?
この場合、「当社が扱っているA商品の売れ行きが好調であるため、X社の当社からの購入量が増えている」というような原因も考えられますが、「X社の支払いが遅れがちであることを理由に、同じA商品を仕入れていたY社との取引を断られたので、その代わりとしてX社の当社からの購入量が増えている」といったような原因も考えられます。
前者のような原因であれば特に問題はありませんが、仮に後者のような原因なら、このまま取引を続けることにはかなりの与信上のリスクがつきまとうことになるはずです。
このように、与信管理をする上では、入手した情報を自分に都合の良いように解釈するのではなく、その原因をきちんと確かめようとする“慎重さ”がとても大事になってきます。
実際は信用調査会社の情報に頼りきりであったとしても、不良債権化してしまった時に苦労するのは自分たちです。
ちゃんと用心するに越したことはありません!
次回は、危険な兆候をつかんだ時の対応などについてお話ししたいと思います。
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