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今回は、与信限度額の設定などについて説明したいと思います。
与信限度額の設定に影響を与えるのは……
情報分析まで作業が進めば、取引を希望する相手の信用度を評価(=信用格付け)することが可能になるので、信用取引を承認するかどうかを判断できるようになります。
ただ、実際には、与信管理に信用調査会社の報告書を利用している中小企業であっても、その多くが情報分析をスルーして、信用調査会社の評点をもとに信用度の評価を行っているのが実情です。
信用度を評価した結果、信用取引を承認するのであれば、中小企業こそ与信管理が必要な理由とは?(中小企業こそ与信管理が大事!その2)でも述べたように、代金回収ができなくなる危険をなるべく低くしながらも、できるだけ売上も増やしたい……という二つの相反する要望に折り合いをつけ、一番望ましいバランスで取引ができるようするために、承認した企業に対して与信管理を行う必要が生じます。
与信管理を行うに際して、与信限度額の設定は欠かすことができませんが、その与信限度額の設定に大きな影響を与えるものには、大きく分けて、「(取引を希望する相手の)信用度」「(取引を希望する相手との)取引規模」「(自社の)財務体力」の三つがあります。
例えば、信用度が高いと与信限度額を高く設定することができ、取引規模が大きければ与信限度額を高く設定する必要性が高くなり、財務体力があれば与信限度額を高く設定しても十分対応できるという関係が成立します。
尚、取引規模は、「1回あたりの取引額」「取引頻度」「支払条件(=支払サイト)」にそれぞれ分解できますから、支払条件と与信限度額の設定の間には相関関係が成立し、設定された与信限度額によっては、設定前に予定していた支払条件を見直さなければならないことも考えられます。
与信限度額の算出方法!
与信限度額を算出する方法には、
・相手方の(推定する)仕入債務額に一定割合を乗じた額を基準にする方法
・相手方の(推定する)自己資本額に一定割合を乗じた額を基準にする方法
・相手方が保有する不動産の資産価値から担保設定部分を引いた額を基準にする方法
・自社の売上債権額に一定割合を乗じた額を基準にする方法
・自社の自己資本額に一定割合を乗じた額を基準にする方法
・自社の過去数年間分の粗利益を基準にする方法
などがあり、このような方法によって求められた金額に、信用度に応じて定めた係数を乗じることで与信限度額が算出されます。
例えば、A社の(推定する)仕入債務額が1,500万円、一定割合が20%、A社の信用度に応じた係数が1.2だとすると、A社の与信限度額は1,500万円×20%×1.2=360万円となります。
注意して欲しいのは、これらはあくまでも実情を無視した仮説に基づく値であるため、算出した与信限度額がきちんと使えるものになっているのかをチェックする必要があるということです。もし、実情にあっていないようならば、複数の方法を併用したり、乗じる割合を変更してみたり、調整してみたりして、実情に合うように修正する必要があります。
更に、一度設定したらずっとそのままにしておくのではなく、最低でも1年に1回ぐらいの頻度で実情にあっているのかをチェックし、時間をかけて精度を上げていく必要があります。
次回は、モニタリング活動の重要性などについてお話ししたいと思います。
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