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今回も、情報収集について説明したいと思います。
不動産登記簿とは?
取引先の情報収集をするオーソドックスな手法には、与信管理のために商業登記簿を入手する!(中小企業こそ与信管理が大事!その8)で紹介した商業登記簿を入手するという方法以外にも、不動産登記簿を入手するという方法があります。
不動産登記簿には不動産の権利関係などが記載されていますが、土地と建物で別々に作成・保存されています。
不動産登記簿は大きく分けて、
1.土地や主たる建物の現在の概要を記載している「表題部」
2.所有権に関する事項を記載している「甲区」
3.所有権以外の権利に関する事項を記載している「乙区」
から構成されています。
不動産登記簿を請求するには、実際の住所(住居表示)ではなく「地番」によって行う必要があります。そのため、不動産登記簿を請求する際には、あらかじめブルーマップ(住居表示と地番の対照表のこと)などで地番を調べておく必要があります。
尚、実際に取得できる不動産登記簿は「登記事項証明書」と呼ばれ、与信管理の観点からは、履歴を確認できる「全部事項証明書」を取得するべきです。
不動産登記簿を入手する方法については、与信管理のために商業登記簿を入手する!(中小企業こそ与信管理が大事!その8)で紹介した商業登記簿の場合と変わりありません。又、証明書でなくとも登記情報さえ入手できればそれで良いという場合についても同様です。
不動産登記簿を見る際のポイント!
不動産登記簿を見る際のポイントは、何といっても、不動産に関する権利関係の把握をすることです。そのため、まずは甲区の所有者の名義と住所を確かめる必要があります。
もし、甲区の「登記の目的」の箇所に「差押え」「仮差押え」「仮処分」「競売申立」などの記載があるならば、それはかなり危険な状態にあると思われるので、そのような相手と信用取引をすることはなるべく避け、既に信用取引を開始してしまっているようなら、できるだけ早く縮小・回収の準備に着手するべきです。
乙区には所有権以外の権利に関する事項が記載されるので、「抵当権設定」*や「根抵当権設定」*などに関する情報が記載されています。
*特定の取引に基づく債権に対する担保権が「抵当権」であり、反復継続する取引から発生する一定の範囲の不特定の債権に対する担保権が「根抵当権」です。
抵当権や根抵当権に関する過去からの情報を注意深く見ていくと、取引先がどのような金融機関から資金調達をしてきたのか?を知ることができ、又、そのような調達先の変遷を見ることで、取引先の信用状況がどう変化しているのか?を読み解くことができます。
例えば、昔は銀行の名前しか出てこないのに、だんだんとノンバンクや名前も聞いたことのない企業や個人の名前が出てくるようだと、かなり資金調達が難しくなっていると考えて間違いないでしょう。
他にも、担保権者として取引業者の名前が載っているような場合には、取引業者が危険を感じて債権保全を図っている可能性があります。
次回も、情報収集ついてお話ししたいと思います。
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