立派な与信管理規程を作成していても……(中小企業こそ与信管理が大事!その5)

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今回は、与信管理の基本方針や役割分担などについて説明したいと思います。

与信管理で大事なのは……

あなたが経営している会社では、与信管理の基本方針は定めているでしょうか?(あなたが個人事業者*1であるなら、あなたが行っている事業の与信管理の基本方針は定めているでしょうか?)

*1個人事業主という用語の方が一般的に使用されていますが、消費税法第2条第1項第3号で事業を行う個人を個人事業者と定義していますので、私のブログ記事では個人事業者という用語で統一しています。

与信管理の基本方針を定めているのか?

与信管理の基本方針とは、簡単に説明すると、信用取引をするのに、「どのくらい厳格に対応するのか?」という基本的な方向性を示したものです。

念のために確認しますが、上記の質問は、「ちゃんと与信管理規程を作っていますか?」という意味の質問ではありません。

聞きたいのは、与信管理の基本方針を「規程の形にしているのかどうか?」ということではなく、与信管理の基本方針を「担当者たちはきちんと理解して受け入れているのか?」ということです。

ちなみに、理想的な与信管理規程を作るだけならば、ネット上で「与信管理規程、雛形」と検索すれば、いくつかの雛形をダウンロードできますので、これを使えば簡単に作成することができます。

けれども、そんな「絵に描いた餅」のような与信管理規程を作成しても、誰も規程を順守してくれないでしょうし、与信マインド(=与信管理の重要性に対する意識のこと)も育ちません。

役割分担の重要性!

基本方針に沿った与信管理をするためには、営業を担当する者、審査を担当する者、債権管理を担当する者などの役割分担が重要になります。

役割を分担させるのは、1.与信管理の基本方針を逸脱しないように牽制させるためと、2.与信管理の基本方針に沿って業務を正確に行えるようにするためです。

例えば、営業を担当する者の報酬が営業成績に連動するような場合、営業を担当する者は、与信管理の基本方針を無視して、信用取引を増やそうとしてしまいがちです。

そのため、営業を担当する者の行動を、審査を担当する者や債権管理を担当する者がしっかりと監視する必要があるのです。

与信管理の基本方針を逸脱しないように牽制させる

又、担当を分けることで、与信限度額や支払条件が与信管理の基本方針通りに正しく決められているのかをお互いがチェックできるようになります。

与信管理の基本方針に沿って業務を正確に行えるようにする

一方、営業を担当する者、審査を担当する者、債権管理を担当する者などは、お互いを牽制するだけでなく、相互に協力する必要もあります。

例えば、営業を担当する者は、取引先に一番近いところで仕事をしていますから、取引先に異変などがあった場合に素早く情報収集することができます。そこで、入手した情報を審査を担当する者や債権管理を担当する者に迅速に伝えることで、損失の発生を未然に防ぐことが可能になるわけです。

互いに協力して損失の発生を防ぐ!

このように、役割分担をすることで、お互いが馴れ合いの関係になることなく、相互に協力できるようにすることを可能にし、組織として利益を最大化するのです。

ですから、従業員数が少ない中小企業(特に小規模企業者*2)であっても、与信管理を行うのに最低限必要な人数は確保しておく必要があるでしょう。

*2製造業その他の場合には従業員20人以下、商業・サービス業の場合には従業員 5人以下の企業のことを指します。

次回は、情報収集ついてお話ししたいと思います。

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