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今回も、決算書対策などについて解説してみたいと思います。
短期間で実施できる決算書対策は存在するか?
今まで、債務者区分や銀行格付けをアップさせるには小手先のテクニックでは通用せず、又、決算書対策にも時間が大変かかるという説明をしてきました。
しかし、簡単に実施できる対策が存在しないわけではありません。裏ワザはあります。
それが役員報酬の減額です。
おそらく、経営者であるあなたは「な~んだ、そんなことか」と思われたでしょう。
けれども、役員報酬を減額するというのは、あなたが思うほど単純な話ではありません。
ずっと先のことまで考えて決定しなければ、きっと後で後悔することになる……そういった類のものなのです。
なぜなら、役員報酬を少し高めに設定することが、知る人ぞ知る”賢い節税(合法的に税金を安くすること)方法”だからです。
役員報酬を減額するか?それとも……
中小企業の経営者の中には気がついていない人も多いのですが、実は、日本の税制では、会計上の利益より税務上の利益の方が大きくなるように設計され、実態より多くの税金を払わなければならない仕組みになっています。
このような不合理な状態を回避するための手段が、税法の規定に則って、損金として計上できる範囲内で役員報酬を少し高めに設定するという方法なのです。(高めではなく、“少し”高めです。高すぎると、かえって増税になってしまいます!)
つまり、この少し高めに設定した役員報酬の金額部分が「調整弁」として機能することで、実態に合わない税金の支払いを緩和し、会社が存続できるように、全体としてのバランスをとっているわけです。
しかも、この役員報酬による節税方法は他の節税方法と違って、実態としては社外への支出を避けることができるので、資金繰りに与える影響を抑えることができます。
そのため、利益があまり出ていない時には、設定した役員報酬の金額をまるまる受け取るようなことはなく、一部が未払いであったり、一部を会社に貸し付けたりすることになります。
ところが、経営状態が悪化した場合に、このような事情を知らない人から、債務者区分や銀行格付けを下げられないように、実態に合わせて役員報酬を減額したらどうかというアドバイスをされることがあります。
しかし、このアドバイスに従うことは、先ほどの「調整弁」を自ら取り除いてしまうことを意味します。
もちろん、あまりにも設定金額が高すぎるような場合には、節約できる法人税よりも役員報酬にかかる所得税の方が高くなる場合もあるので、役員報酬を減額する方がかえって望ましいこともあります。(更にいうと、社会保険料の支払いについても考慮して判断する必要があります!)
それに、そんな節税方法を使わなくても既に赤字であるような場合には、そもそも調整弁としては機能していないので、役員報酬を減額したとしても特に問題にはなりません。
以上のようなことから、簡単に実施することができる対策ではありますが、よく考えた上で決めなければならないという対策でもあるのです。
う~ん、悩ましい……
次回からは、銀行から融資を受けるという方法以外の資金調達方法についてお話ししたいと思います。
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