銀行に決算書をどう良く見せるか?(上手に資金調達しよう!その9)

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今回も、決算書対策などについて解説してみたいと思います。

貸借対照表に対する有効な対策

まず、貸借対照表からですが、銀行は決算書をどう見るか?(上手に資金調達しよう!その8)で説明したように、銀行は提出された貸借対照表を時価評価し直したりして、実態を表す貸借対照表に作り替えています。

そのため、決算書対策をする上では、この作り替え作業を意識しておく必要があります。

例えば、会社代表者(あなたのことです!)や会社役員に対する貸付金や仮払金などで、返済実績がないようなものについては、作り替え作業において、実態がないものとして0円評価される可能性が高いでしょう。

そこで、このような場合には、銀行に提出する貸借対照表についても、できるだけ、それに合わせた処理をすることが望ましいです。

銀行が実態を表す貸借対照表へ作り替えた時に、あまりにも差があると心証が悪くなる!

ただ、いくら資産価値がないとしても、税務上の要件を満たさないと損金計上できないケースもありますので注意してください。

もちろん、そのようなケースであっても、税務申告書の別表四できちんと処理さえすれば、ほとんどの場合、費用処理することは問題ありません。(いわゆる有税処理といわれる処理方法です。)

但し、固定資産の帳簿価格と時価が乖離している場合に、帳簿価格を時価に評価替えし、評価損益を計上するようなことは、投資有価証券などの一部の例外を除いて会計上許されませんので、このような処理はやらないで下さい。(このようなことをしても、銀行の評価は良くなりません!)

このように、貸借対照表については、会計上望ましい処理をきちんと行い、銀行の心証を良くするぐらいしか有効な対策がないのが実情です。

減価償却をしないといったような小手先のテクニックで財務状態を良く見せようとしても、銀行が提出された貸借対照表を実態を表す貸借対照表に作り替えている以上、ほとんど効果がなく、かえって心証を悪くしてしまうだけです。

時間をかけて、コツコツと財務内容そのものを良くしていくしかありません。

貸借対照表の情報はストック情報なので、変化させるには時間がかかるという理由もあります!

損益計算書に対する有効な対策

次に、損益計算書についてですが、銀行は決算書をどう見るか?(上手に資金調達しよう!その8)で説明したように、銀行は、収益(又は利益)や費用(又は損失)が、どの損益区分に計上されているのかを気をつけて見ています。

ただ、このことは、きちんと計上理由を説明できるのであれば、より有利と思われる損益区分に計上することで評価を変えられる可能性があることも示唆しています。

例えば、金額の大きな費用(又は損失)を販売費及び一般管理費の区分ではなく、営業外費用や特別損失に計上することができるのならば有効な対策になるはずです。

特に、特別損失に計上することができるなら、かなり大きな金額であったとしても、今回たまたま生じた費用(又は損失)だと判断してもらえる可能性が高くなるので、マイナス評価の影響を小さくすることになります。

費用はなるべく下に計上する!収益はなるべく上に計上する!

このように、費用(又は損失)については、なるべく下の損益区分に計上し、逆に、収益(又は利益)については、なるべく上の損益区分に計上するのが有効な対策となります。

但し、銀行は税引後の当期純利益もしっかりとチェックしているので、その効果は限定的であることは理解しておいて下さい。

次回も、決算書対策などについてお話ししたいと思います。

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