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今回は、決算書対策などについて解説してみたいと思います。
実態を表す貸借対照表?
銀行に提出する決算書には、税務申告書(別表と呼ばれているものです)に添付される「貸借対照表」と「損益計算書」とがあります。(尚、株主資本等変動計算書については、ここでは考慮外とします。)
この内、銀行では融資先の支払能力を把握しやすい貸借対照表の方を重視しています。
とはいえ、銀行は提出された貸借対照表をそのまま判断材料として使うことはありません。
というのも、貸借対照表に記載されている科目の多くが、一部の例外を除き、取得原価で記載されており、そのままでは支払能力を正しく把握できないためです。
そのため、銀行は提出された貸借対照表を時価評価し直したりして、実態を表す貸借対照表に作り替えてから、評価のための判断材料として使います。
ですから、経営者であるあなたが(もしくは、顧問税理士が)、決算書対策と称して、貸借対照表の数字を故意に操作したとしても、そのほとんどがこの作り替え作業で意味を失います。
それどころか、銀行側に悪質な修正がされていると判断されれば、そのことを理由に、債務者区分や銀行格付けの評価が引き下げられる可能性がありますから、そのような行為は止めておいた方が無難です。
又、故意に数字を操作したかどうかに関わらず、提出した貸借対照表では「債務超過」になっていなかったとしても、実態を表す貸借対照表では債務超過になっている場合もあります。
当然、このような場合には、債務者区分や銀行格付けの評価が引き下げられることになります。
損益計算書も修正をするのか?
それでは、損益計算書についてはどうでしょうか?
損益計算書についても、次のような場合には修正が加えられます。
まず、上述の実態を表す貸借対照表に作り替える作業において、その変更が損益計算書の内容にも影響を与えるであろうと思われるものについては、これに合わせて修正が加えられることになります。
次に、銀行が提出された損益計算書を見た場合に、収益(又は利益)や費用(又は損失)が計上されている損益区分が明らかにおかしいと感じるものがあれば、正しいと思われる損益区分に修正されます。
この場合も、銀行側に悪質な修正がされていると判断されれば、そのことを理由に、債務者区分や銀行格付けの評価が引き下げられる可能性がありますから、故意に数字を操作するような行為は止めておいた方が無難です。
尚、おかしいかどうかが微妙なものや、事情がありそうなものについては、銀行から問い合わせがあると思います。
正当な事情があるなら、きちんと釈明しないと変に疑われることになりますので注意が必要です。
次回も、決算書対策などについてお話ししたいと思います。
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