債務者区分が正常先でも……日本型金融排除の問題?(上手に資金調達しよう!その3)

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今回は、前回まで説明してきた銀行格付けや債務者区分との関係を踏まえて、「日本型金融排除」の問題などを解説してみたいと思います。

要するに、日本型金融排除とはこういうこと!

経営者であるあなたは「日本型金融排除」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

日本型金融排除とは、2016年10月21日に金融庁から公表された『平成28事務年度 金融行政方針』に記載されていた言葉であり、そこで「十分な担保・保証のある先や高い信用力のある先以外に対する金融機関の取組みが十分でないために、企業価値の向上が実現できず、金融機関自身もビジネスチャンスを逃している状況」と定義されているもののことです。

これを、前回まで説明してきた銀行格付けや債務者区分との関係を踏まえて、私なりに解釈すると、下の図のようなイメージとなります。

日本型金融排除のイメージ

どうでしょうか?

もし、あなたの会社が銀行格付け1~3に該当するならば、どの銀行も、あなたの会社に融資をしたいと思っているということになりますから、上手く交渉することで、あなたの会社が主導権を握ることができるでしょう。

又、もし、あなたの会社が銀行格付け4以下に該当するならば、まずは、銀行格付けをランクアップする必要があります。

ただ、この場合でも(そのために必要な対策をした上で)複数の銀行を回れば、銀行格付けを3以上に評価してくれる銀行が現れるかも知れません。

金融行政方針を読み解くことで見えてくるもの……

実は、『平成28事務年度 金融行政方針』を注意深く読むと、金融庁は日本型金融排除の問題が生じていると断定しているのではなく、「そのような状況にあるのではないか?」という仮説として、日本型金融排除の問題を取り上げています。

とはいえ、これは、金融庁が日本型金融排除の問題をあいまいにしようとしているわけではありません。

それは、金融排除とはせず、あえて“日本型”という言葉を付け足すことで、世界に例を見ない日本独自の現象であることを強調した金融庁の意図からも見て取れます。

又、同方針では、金融庁としては今のような銀行のやり方では今後も生き残っていくことは難しいと考えており、銀行間での公正な競争を促そうとしていることにも言及しています。

ですから、今後は、企業側も融資を依頼する際に(もちろん、そのために必要な対策をした上で)複数の銀行と交渉することを積極的に検討すべきだといえます。

融資をする側、融資をされる側、どちらにとっても馴れ合いの関係になることは望ましくありません!

冷静に考えれば分かると思いますが、特定の相手としか交渉しないということは自ら交渉力を弱くしていることに他なりません。

どうせ他とは取引しないだろうと足元を見られ、相手は譲歩しないからです。

もちろん、あなたがいつまでも高い金利で貸し付けられ、ぞんざいに扱われても一向に構わないというのなら、話は別ですが……

次回は、銀行がどのように債務者区分や銀行格付けを決定するのか?などについてお話ししたいと思います。

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