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このブログ記事は、2018年7月30日に改題・更新しました。
今回は、技術力を見える化する方法について考えてみたいと思います。
技術力は会社の強みになり得るのか?
あなたが経営している会社の強みは何でしょうか?
私の経験だと、製造業などを営んでいる中小企業の場合には「技術力」という答えが多いように思います。
ただ、中小企業での話ですから、最先端の生産設備を完備しているというような技術力のことではなく、工員の経験値の高さからくる技術力、つまりは「職人」や「匠」と呼ばれるような人の経験値に依存する技術力である場合がほとんどです。
もちろん、これも立派な強みであることには違いはないのですが、少々問題がある強みでもあります。
なぜなら、そのような強みはあまりにも特定の個人の能力に依存しすぎているため、会社という組織としての強さとして考えるにはあまりにも不安定だからです。
例えば、会社の強みである技術力を特定の熟練工以外の他の工員で代替できないと、その熟練工がこなせる仕事量が会社全体の仕事量の上限ということになってしまいます。
それに、会社の強みである技術力を持つ工員に会社を辞められてしまうと、今まで通りの作業ができなくなる恐れがあるので、会社の存続そのものが危ぶまれます。
(尚、中小零細企業の場合、強みである技術力を持っているのが経営者自身というケースも多く、このことが事業承継を困難にしているという側面もあるでしょう……)
技術力を見える化するには?
上記のような制約を解消するには、会社の強みである技術力を組織として活用できるようにする必要がありますが、それはそんなに簡単なことではありません。
まず、中小企業で業務マニュアルが作成されないのはなぜか?(見える化をしよう!その5)でも説明したように、会社の強みを「見える化」すると、技術力を持っている工員の仕事を奪う危険性があるため、彼らの協力が得られにくいということがあります。
そこで、これについては、中小企業で業務マニュアルが作成されないのはなぜか?(見える化をしよう!その5)でも説明したように、「見える化」に協力することが、技術力を持っている工員のメリットにもなるように工夫をすることで対処します。
次に、知識の見える化を成功させるには……(見える化をしよう!その9)でも説明したように、会社の強みである技術力の多くは暗黙知であるため、そもそも「見える化」すること自体がとても難しいということがあります。
(「職人」や「匠」と呼ばれるような人が長い時間を経て培ったノウハウのようなものを言葉や数値で表現するのは簡単ではないことは容易に想像ができるでしょう……)
そのため、何らかの方法で表出化(暗黙知→形式知)をしなければなりませんが、その方法として考えられるのが「測定」をすることです。
つまり、会社の強みである技術力を持っている工員の作業方法を細かく計測をして記録していくわけです。
とても根気がいりますが、それによって工員の作業方法とその結果の関係をデータとして把握できるようになり、暗黙知を形式知に変換すること(つまり「見える化」すること!)が可能となります。
次回は、棚卸資産の見える化について解説したいと思います。
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