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このブログ記事は、2018年4月26日に改題・更新しました。
今回は、キャッシュフロー経営における借入れの影響について考えてみたいと思います。
借入れに“良い”“悪い”はあるのか?
キャッシュフロー経営の観点から借入れについて考えてみると、借入れはキャッシュ・インをもたらすという点で売上による収入と変わりはなく、そのような意味では借入れに“良い”も“悪い”もないはずです。
けれども、借入れは返済時にキャッシュ・アウトを伴いますから、この点を考慮すると、借入れが企業経営に与える影響を無視することはできません。
そこで、借入れにより設備資金を調達する場合について考えてみましょう。
この場合、借入れの返済によるキャッシュ・アウトのための財源は、その後の売上増加や経費削減によるキャッシュ・インということになるでしょうから、予定通り営業キャッシュフローが増加するなら、企業経営には大きな影響を与えません。
それでは、返済額よりも営業キャッシュフローの増加の方が少ない場合についてはどうでしょうか?
このような場合、返済のための資金が足りなくなる恐れがありますから、資金が足りない場合には返済を引き延ばすしかなく、借り換えを行うか、返済を待ってもらうぐらいしか方法がありません。
ただ、このような場合であっても、借入れの返済によるキャッシュ・アウト以外の支出については十分に賄えているのであれば何とかなる可能性はあります。
問題は、営業キャッシュフローが減少してしまい、借入れの返済によるキャッシュ・アウト以外の支出についてまでも借入れに依存しなければならないような状態が続いている場合(=営業利益の赤字がずっと続いているような状態)です。
こうなると、いくら借入れをしても返済の目途が立ちませんから、ただ経営破綻するのを先延ばししているだけ……ということになるでしょう。
つまり、“良い”借入れとは、返済の財源となる営業キャッシュフローを増やすことに繋がる借入れのことであり、“悪い”借入れとは、返済の財源となる営業キャッシュフローを増やすことには繋がらない借入れということになります。
“良い借入れ”と“悪い借入れ”を分けるもの、それは……
このように、借入れという行為そのものには“良い”も“悪い”もありませんが、その後に営業キャッシュフローがどうなるのかが“良い”借入れと“悪い”借入れの分かれ目となります。
このことは、たとえ少額の借入れであったとしても、その後に営業キャッシュフローがどんどん減少すれば“悪い”借入れとなり、逆に、無謀とも思えるような多額の借入れであったとしても、その後に営業キャッシュフローがどんどん増加するようなら“良い”借入れになるということです。
もちろん、借入れを一切しないで企業経営を行えるのなら、こんなことを気にしなくてもよいのでしょうが、現実にはかなり難しいでしょう。
ちなみに、仕入債務も借入金と何ら変わるものではありません。(厳密には、仕入債務は原材料などの購入代金を後払いすることを仕入先と約束したもののことですが、これを仕入先から仕入代金分の資金を借入れ、その資金を使って原材料などを購入したと考えれば、通常の借入れと何ら変わらないことになります。)
さあ、営業キャッシュフローを増やせるのかどうか?経営者としてのあなたの手腕が問われています!
次回は、キャッシュフロー情報だけを重視する場合の前受金の危険性について解説してみたいと思います。
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