ただ何となく見える化をしてしまうと……(見える化をしよう!その10)

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このブログ記事は、2018年6月13日に改題・更新しました。

今回は、「見える化」によって生じる問題について考えてみたいと思います。

人は見られていることを意識してしまうと……

あなたが経営している会社では、何か「見える化」を実践しているでしょうか?

実は、「見える化」にはメリットも多いのですが、全く問題がないわけではありません。

人は見られていることを意識してしまうと行動を変化させるので、そのことを十分に理解した上で「見える化」をしないと、企業としては望ましくない行動をとらせてしまう危険があるのです。

人は見られていることを意識してしまうと行動を変化させる……

研究開発に使った額を見える化した場合……

例えば、研究開発に使った額を開発担当者ごとに紐付して集計するようにした場合について考えてみましょう。

この場合、誰がいくら使ったのかを「見える化」することができるようになりますが、開発担当者たちは自分が無駄遣いをしていると思われないように、成功率が高い無難な研究開発しかやらなくなる危険があります。

もちろん、無尽蔵に研究資金を使わせるわけにいきませんが、それでも企業としての競争力を維持していくためには、たとえ成功率が低い研究であっても必要と思われるものには積極的にチャレンジしていかなければなりません。

競争力を維持するためにはチャレンジすることが必要!

それなのに、開発担当者たちが無難な研究しか行わないようになると、企業の競争力はどんどん低下してしまいます。

顧客獲得にかかった額を見える化した場合……

今度は、顧客獲得にかかった額を営業担当者ごとに分かるようにした場合について考えてみましょう。

この場合も、誰がいくら使ったのかを「見える化」することができるようになりますが、営業担当者たちは自分が無駄遣いをしていると思われないように、成約率が高いと予想される相手しか営業攻勢をかけなくなる危険があります。

もちろん、無制限にお金を使わせるわけにはいきませんが、それでも企業として成長していくためには、たとえ成約率が低いと予想される相手であっても果敢に攻めていく姿勢を見せなければなりません。

成長するためにはリスクを取ることも必要です!

それなのに、営業担当者たちが無難な相手しか営業攻勢をかけなくなると、企業は成長する機会をどんどん失ってしまいます。

人の心理の変化を過小評価してしまうと……

このような「見える化」の問題は、見られることによる“人の心理の変化”を過小評価してしまったことから生じます。

研究開発の場合であれ、顧客獲得の場合であれ、たとえ使った額は人事評価には一切影響させないことを各人に知らせていたとしても、果敢に挑戦することが賞賛されるような組織文化(企業文化)が根付いているといった事由でもない限り、ほとんど結果は変わらないでしょう。

なぜなら、人事評価そのものには影響を与えないと理解していたとしても、いくら使ったのかを“見られている”ということを意識するだけで、多くの人は行動を委縮させてしまうものだからです。

委縮してしまう……

そのため、「見える化」をする際には、このような見られることによる“人の心理の変化”を十分に考慮しなければなりませんし、更には、各人が企業として望ましい行動をするように、見られることによる“人の心理の変化”を逆手に取るぐらいでなければならないのです。

次回は、定量情報(定量データ)や定性情報(定性データ)について解説したいと思います。

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