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このブログ記事は、2019年5月6日に改題・更新しました。
今回は、「銀行の統合・再編」について考えてみたいと思います。
一つの銀行とだけ取引をしていると……
あなたが経営している会社では、どれくらいの数の銀行と取引をしているでしょうか?
銀行の数を調べてみると、地方銀行だけでも103行(地方銀行が64行、第二地方銀行が39行)ある*ようですから、おそらく、あなたの会社も複数の銀行と取引をしていると思います。
*出典:金融庁の銀行免許一覧(平成31年4月1日現在)
そもそも、一つの銀行とだけ取引をしているような場合だと、万が一、その銀行から融資を断られたりするようなことがあれば、あなたの会社が資金調達をする手段はほとんどなくなってしまいます。
そこで、そのような危険を回避するという観点からも、複数の銀行と取引をする必要があるのです。
金融庁VS公正取引委員会
一方、バブル崩壊以降、銀行の経営難を救うために合併などが行われるというニュースをよく目にするようになりました。
最近であれば、長崎県の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループと長崎県の十八銀行が2019年4月1日に経営統合しています。
ただ、この経営統合は長崎県での貸出金のシェアが統合後は7割を超えてしまうことから、統合を後押しする金融庁と審査をしていた公正取引委員会との間で対立を生み話題となりました。
実際のところ、地域経済を支えている銀行に対して経営難を理由に廃業させることは難しく、この問題を解決するためには経営統合をするしか方法がありません。しかし、一方で、経営統合は銀行間での競争を回避させることになるので、銀行が提供しているサービスの質を低下させることに繋がります。
金融庁の主張も公正取引委員会の主張もどちらも筋が通っており、どちらが正しいという判断は簡単にはできませんが、政府は2019年4月3日に地方銀行と地域乗り合いバスの統合に限定して独占禁止法の適用を特例的に見直す考えを示しました。
そのため、今後は地方銀行の統合・再編が加速していく可能性があります。
中小企業の経営者であるあなたにとっては……
実は、中小企業の経営者であるあなたにとっては、銀行の合併や経営統合は他人事ではありません。
最初に説明したように、一つの銀行とだけ取引をしているような場合だと、万が一、その銀行から融資を断られたりするようなことがあれば、あなたの会社が資金調達をする手段はほとんどなくなります。
つまり、そのような危険を回避するためにも、(煩雑にならない範囲で)なるべく多くの銀行と取引をしておく必要があるわけですが、合併や経営統合が行われてしまうと、取引をする銀行がどんどん減ってしまう危険があるのです。
特に、狭い地域だけで事業を行っている場合には、取引できる銀行が一つだけになる危険が高くなります。
それに、合併による場合と違って、金融持株会社を使う経営統合の場合には、それぞれ別の銀行が同じグループに所属する形になります。
ですから、銀行の名前が違うということだけで安心していると「実はすべて同じグループの銀行だった!」というようなことが起こるかもしれません……
次回は、「銀行に対する規制」についてお話ししたいと思います。
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