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このブログ記事は、2018年6月13日に改題・更新しました。
今回は、知識創造の観点から、知識の「見える化」について考えてみたいと思います。
形式知と暗黙知
あなたが経営している会社では「ナレッジ・マネジメント」を導入しているでしょうか?
前に、ナレッジ・マネジメントを導入して知識を「見える化」することの難しさについて、DINWモデルを使って説明しましたが、今度はSECIモデルを使って考えてみたいと思います。
SECIモデルというのは、野中郁次郎氏と竹内弘高氏によって提唱された知識創造を説明するためのモデルのことであり、知識を「形式知」と「暗黙知」に分けて議論している点に特徴があります。
形式知と暗黙知を私なりに説明すると、形式知というのは、言葉や数値で明確に表現することが可能な知識のことであり、暗黙知というのは、言葉や数値では表現することが難しい属人的な知識のことです。
例えば、マニュアルが形式知だとすると、数値化できない職人の勘は暗黙知になります。
そして、この暗黙知と形式知の変換過程について説明したのがSECIモデルです。
- 「共同化(Socialization)」暗黙知→暗黙知
- 「表出化(Externalization)」暗黙知→形式知
- 「連結化(Combination)」形式知→形式知
- 「内面化(Internalization)」形式知→暗黙知
尚、これらは「共同化(Socialization)」→「表出化(Externalization)」→「連結化(Combination)」→「内面化(Internalization)」→「共同化(Socialization)」→…という形で循環(知識スパイラル)し、知識創造がなされます。
知識を「見える化」するには?
以前、中小企業で業務マニュアルが作成されないのはなぜか?(見える化をしよう!その5)で、属人化している業務をマニュアル化することの効用について説明しましたが、このマニュアル化の作業こそが、SECIモデルの説明する知識スパイラルそのものだと思ってもらって構いません。
- 「共同化(Socialization)」暗黙知→暗黙知
担当者が対象となる業務を経験して自分なりに理解する。
- 「表出化(Externalization)」暗黙知→形式知
作業内容を整理して言語化できるようにする。
- 「連結化(Combination)」形式知→形式知
言語化した作業内容を業務マニュアルにする。
- 「内面化(Internalization)」形式知→暗黙知
業務マニュアルを読んだ者が作業内容を理解する。
- 「共同化(Socialization)」暗黙知→暗黙知
実際に作業を行うことで、業務マニュアルには書かれていない“気づき”を得る。
どうでしょうか?
ただ、注意してもらいたいのは、知識が創造されるのは、暗黙知を形式知へと変換する「表出化(Externalization)」だけではなく、「見える化」された形式知を再び暗黙知へと変換する「内面化(Internalization)」なども含まれるということです。
それに、形式知と暗黙知は概念上区別することができますが、人間の頭の中に蓄積している状態では混在しているというのが実情であり、又、完全に形式知に変換された状態で知識が伝達されているというわけでもありません。
そう考えると、本当の意味で知識を「見える化」をするためには、形式知に変換された知識をただデータベース化するだけでは十分でなく、組織として、暗黙知の“蓄積”や“伝達”をどのようにサポートしていくのかがカギを握ることになります。
もちろん、簡単にできるようなものではありませんが……
次回は、「見える化」によって生じる問題について解説したいと思います。
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